2023年度の公的年金支給額、実質減額

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厚生労働省は1月20日、2023年度の公的年金支給額を前年度から1.9%引き上げると発表した。新規裁定者については前年度から2.2%の引き上げとなる。

この日に発表された2022年の消費者物価指数(総合)は+2.5%となった。

年金支給額はアップにはなるが、昨年の物価アップを下回ることとなる。


過去3年の名目手取り賃金変動率は+2.8%となった。

これらを使い、下記の計算により2023年度の公的年金支給額が決まった。


前年度(2022年度)の公的年金支給額は前年度から0.4%の引き下げで、2年連続のマイナスであった。

計算方法と考え方についてはこれに記載してある。

 2022/1/22 2022年度の公的年金支給額、前年度から0.4%引き下げ

2023年度については、ニッセイ基礎研究所は既裁定者は1.8%、新規裁定者は2.1%の引き上げと予想していた。
マクロ経済スライドが実績で 0.1%ポイントだけ違った。

2022/11/23 来年度の年金、実質減額


マクロ経済スライドとは、平成16年の年金制度改正で導入されたもので、賃金や物価の改定率を調整して緩やかに年金の給付水準を調整する仕組みである。

将来の現役世代の負担が過重なものとならないよう、最終的な負担(保険料)の水準を定め、その中で保険料等の収入と年金給付等の支出の均衡が保たれるよう、時間をかけて緩やかに年金の給付水準を調整することになりったもの。

政府は今回、インフレ率を上回る賃上げを企業に求めている。緊急事態ということで、本年のみ、マクロ経済スライドを来年に繰り越してもよかったのではないか。


既裁定者(68歳到達年度以後の受給権者)

  2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 原則
直近1年の物価変動率(基本) +0.5% +0.0% -0.2% +2.5%

基本は物価変動率
賃金変動率が物価変動率より低い場合は賃金変動率を採用

過去3年の名目手取り賃金変動率 +0.3% -0.1% -0.4% +2.8%
(採用) +0.3% -0.1% -0.4% +2.5%  
マクロ経済スライド
公的年金被保険者の変動と平均余命の伸びに基づいて、スライド調整率を設定し、その分を改定率から控除
-0.1% -0.1%

当期 -0.2% 
繰越 -0.1%
計  -0.3%

当期 -0.3%
繰越 -0.3%
計 -0.6%

上記の(採用)がマイナスの場合は、調整せず、その分を翌年に繰り越す。

最終改定率 +0.2% -0.1% -0.4% +1.9%  
マクロ経済スライド繰り越し   -0.1% -0.3%  


65歳に到達し、新たに年金を裁定(決定)するときには、直近の賃金の動向を反映させるため、賃金の変動による改定(+マクロ経済スライド)を行う。

  2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 原則
過去3年の名目手取り賃金変動率 +0.3% -0.1% -0.4% +2.8%  
マクロ経済スライド
公的年金被保険者の変動と平均余命の伸びに基づいて、スライド調整率を設定し、その分を改定率から控除
-0.1% -0.1%

当期 -0.2% 
繰越 -0.1%

当期 -0.3%
繰越 -0.3%
計 -0.6%

上記の(採用)がマイナスの場合は、調整せず、その分を翌年に繰り越す。

最終改定率 +0.2% -0.1% -0.4% +2.2%  
マクロ経済スライド繰り越し   -0.1% -0.3%

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米国で約7千万人に支給される年金給付(Social Security Benefit)が2023年は8.7%の大幅増額となる。

物価上昇に伴う生計費調整(COLA:Cost-of-Living-Adjustment)の規定によるもので、前年第3四半期の勤労者消費者物価指数(Consumer Price Index for Urban Wage Earners and Clerical Workers =CPI-W) の平均を採用、これを 1年間適用する。

2022/10/18 米国の2023年の年金給付、生計費調整で8.7%の大幅アップ 






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