塩野義製薬、韓国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬 ゾコーバの新薬承認申請

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塩野義製薬は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬エンシトレルビル フマル酸(ゾコーバ錠125 mg)について、韓国で、提携先である日東製薬(Ildong Pharmaceutical )を通じ「SARS-CoV-2による感染症」を適応として、1月3日に食品医薬品安全処に新薬の条件付き製造販売承認申請を行った。


塩野義は中国でもゾコーバの承認申請に向け、規制当局に資料を提出している。

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日本の厚生労働省の薬事分科会などの合同会議は塩野義製薬が開発した新型コロナ飲み薬「ゾコーバ」の緊急承認を見送る判断を下していた。


塩野義は9月に最終段階の臨床試験(治験)のデータを公表した。軽症・中等症の患者が1日1回、5日間服用し、鼻水や発熱、せきなど5症状が消えるまでの時間が約8日から約7日に短縮することを示した。ウイルス量減少も報告した。

厚生労働省の専門家分科会は2022年11月22日、塩野義製薬が開発した新型コロナ飲み薬「ゾコーバ」の緊急承認を了承した。安全性を確認したほか、症状改善を早める有効性が推定できると判断した。
厚労省は同日、承認した。
軽症者に使える初の国産飲み薬となる。

2022/7/25 塩野義コロナ飲み薬、「緊急承認」見送り → 承認

「鼻水や発熱、せきなど5症状が消えるまでの時間が約8日から約7日に短縮する」という報道が誤解を生んだ。「たった1日の短縮なら意味がない」との趣旨の発言が多く出た。

「約8日から約7日に短縮する」というのは、5症状〔①倦怠感又は疲労感、②熱っぽさ又は発熱、③鼻水又は鼻づまり、④喉の痛み、⑤咳〕の全てが消える時間であり、 下図の通りウイルス量は早くに減少するため、多くの症状は早く消え、患者への効果は大きい。

投与により患者のウイルス量は4日目には大きく減少するため、感染防止上の効果は大きい。


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韓国のIldong Pharmaceutical と塩野義製薬は1980年代初めから40年間協力関係を維持している。 塩野義の抗生物質「フルマリン」や特発性肺線維症治療剤「ピレスパ」などの国内承認取得と生産を行い、今回の件で初めて臨床段階で協力することとなった。

Ildong Pharmaceutical は2021年11月に塩野義製薬とS-217622(ゾコーバ)の共同開発に着手した。食品医薬品安全処から臨床試験計画(IND)の承認を受け、両社共同で日本、韓国、シンガポール等で多国籍臨床(P23)を進め た。

塩野義製薬は2022年9月16日、日本を除くアジア諸国におけるゾコーバの独占的な開発・販売権を有している平安塩野義(香港)とIldong Pharmaceutical の間で、韓国におけるCOVID-19治療薬S-217622の緊急使用許可(EUA)申請、およびEUA下での政府購入交渉に関するサブライセンス契約を締結した。

Ildong Pharmaceutical は、日本を中心にアジアで実施している第2/3相臨床試験データをもとに、韓国内でのEUA申請および承認取得後の政府購入を目指し、政府当局との協議を進める。

また、一定の条件を満たす場合、Ildong Pharmaceutical は韓国における製造権の許諾を受け、塩野義製薬および平安塩野義香港の技術支援の下、韓国向け製品の製造を担う。Ildong Pharmaceutical はへの技術移管が完了するまでは、塩野義グループより製品を供給する。

平安塩野義(香港)は、塩野義と中国平安保険の合弁会社として2020年に設立された。主な事業として資本投資、知的財産ライセンスマネジメント、中国を含むアジア各国への製品輸出入業務を行う。(塩野義 51%:平安保険 49%)

2020/7/27 塩野義製薬、中国平安保険と合弁会社設立 


日本の厚生労働省の薬事分科会などの合同会議は塩野義製薬が開発した新型コロナ飲み薬「ゾコーバ」の緊急承認を見送る判断を下した。

この時点で、日本に先んじて韓国でIldong Pharmaceutical が承認申請する案も検討されたとされる。

結局、厚労省は11月22日に承認した。

韓国の疾病管理庁はこの直後にゾコーバの導入を検討していることを明らかにし ている。

疾病管理庁が緊急使用を要請する場合、製薬会社が通常の承認申請をしなくても、食品医薬品安全処が早急に審査し、使用の可否を決定する。

今回は、このルートを使わず、Ildong Pharmaceutical が承認申請した。

以 上

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