米医薬品大手 Ily Lillyは1月19日、アルツハイマー病薬「Donanemab」についてFDAが迅速承認(Fast track)を認めなかったと発表した。。
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以下、詳細は 2021/8/17 アルツハイマー病治療薬を巡る話題
1.既存のアルツハイマー治療薬
アルツハイマーは、病理学的には神経原線維変化とアミロイドβ沈着の2つを特徴とする変化により、脳の神経細胞死が生じ、記憶力低下をはじめとする認知機能障害が緩徐に進行する病気。
現時点で認可されているアルツハイマー病の既存治療薬は以下の4つで、いずれも根治を目的としたものではなく、進行を少し(半年〜1年程度)遅らせるものでしかない。
いずれも、ニューロン間の情報を伝達する化学物質である神経伝達物質を制御することにより機能する。
2.新薬開発(アミロイドβ仮説)
注) 一般名の末尾の「マブ」はモノクローナル抗体医薬の意味。
末尾の「ビル」は抗ウイルス薬、「ニブ」は キナーゼ阻害薬
「Aβ(アミロイドβ)仮説」
脳の神経細胞外にAβが蓄積→タウ蛋白のリン酸化→神経原線維変化→細胞毒性が生じ、神経細胞が死滅→認知症を発症
抗Aβ抗体:Aβを除去
抗タウ抗体:タウを除去したり、タウの凝集を阻害
T-817MA:神経細胞保護効果や神経突起伸展促進効果のあるT-817MA投与で、リン酸化タウの減少を確認。
①エーザイ/バイオジェン ADUHELM(一般名:アデュカヌマブ)
米食品医薬品局(FDA)は2021年6月7日、エーザイと米バイオジェンが共同で開発するアルツハイマー型認知症治療薬候補ADUHELM(一般名:アデュカヌマブ)について、脳内のアミロイドβプラークを減少させることにより、アルツハイマー病の病理に作用する初めてかつ唯一の治療薬として、迅速承認(accelerated approval)したと発表した。従来の認知症薬とは異なり、認知機能の低下を長期的に抑制する機能を持つとして世界で初めて承認された。
アミロイド斑(プラーク)は、アミロイドβ蛋白が蓄積したもので、アルツハイマー病患者の脳にみられる。新薬はこのレベルを下げるもの。2021/6/8 エーザイとバイオジェンのアルツハイマー新薬、米で承認
ADHUHELMについては、2020年11月7日のFDAの末梢・中枢神経系薬物諮問委員会で、有効性に対して否定的な見解が出された。
FDA諮問委員会の提言は、FDAによる審査において考慮されるが、拘束力はない。しかし、提言に反する承認は異例。2019/10/24 Biogenとエーザイ、一旦治験中止したアルツハイマー薬の承認申請へFDAのウッドコック長官代行は、承認に至るまでのバイオジェンとFDAとのやりとりが適正だったか調査するよう、米厚生省の監査部門に調査を要求、監査部門は8月4日、承認過程を調査すると表明した。
米下院の二つの委員会も、同薬の承認をめぐる調査に着手した。一方、二つの米大手医療機関は、当面は患者に使用しない方針を表明した。
米国の高齢者向け公的医療保険 Medicare当局は2022年1月11日、保険適用を臨床試験(治験)の参加者に限定する方針を発表した。最終決定された場合、最大市場の米国で普及が進まず、期待された大型薬化は難しくなる。
② エーザイ/Biogen BAN2401
2023/1/7 FDAより迅速承認
2023/1/9 エーザイのアルツハイマー治療薬、FDAから迅速承認を取得
③ Ely Lilly 「ドナネマブ」 今回、迅速承認否定
Aβペプチドは脳内に沈着し、過剰になると互いに結合してタンパク質プラークを形成する。
ドナネマブは、このタンパク質プラークを標的とし、脳内で負担となる余分なタンパク質を除去する。
(単に新しいプラークの沈着または既存のプラークの成長を防ぐのではなく、沈着したプラーク自体を標的にすることが、脳から既存のアミロイド負荷を取り除くために必要)以前のプラーク結合抗体のいくつかは、脳に微小出血を引き起こしたために放棄されたが、これは微小出血を引き起こすことなくマウスのプラークを除去することが報告されている。
3.光認知症療法
東京大学は2021年4月、光酸素化法を開発したと発表した。
脳内でアミロイドβペプチド(Aβ)が凝集・蓄積することがAD発症の原因と示唆されており、Aβの凝集を抑制すること 、また凝集したAβを効率よく除去することがAD根本治療戦略として考えられている。
今回、光照射と光酸素化触媒を用いた光酸素化法を確立した。
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