GMと韓国のLG Energy Solutionは、米国で折半出資する合弁会社Ultium Cells LLC での米国内での4番目となる電池工場を建設する計画を無期限で棚上げした。詳しい複数の関係者が明らかにした。
GM幹部らはこの1年、米国で第4電池工場を建設する計画の詳細を詰めているとの発言を続けてきた。
しかし、両社の幹部がここ数カ月続けてきた交渉は合意がないまま終了した。生産拡大のペースや、労働組合の結成の是非を含む工場運営のあり方について、方針が食い違ったとしている。
LGは、北米ではGM以外にもStellantis、ホンダとの電池合弁プロジェクトを抱えており(下記)、複数のメーカーの要望に同時に応える必要に迫られている。
GMは2025年までに北米で年100万台のEV生産を目指しており、電池工場の新設が必要であるため、新たな提携先を検討しているとされる。
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LG Chemは2020年9月17日、世界シェア首位のバッテリー部門を分社化して、完全子会社にすると発表した。
同社のバッテリー部門は売上高全体の3割強を占める。収益面では先行投資がかさんだため営業赤字が続いていたが、4~6月期には黒字転換して収益化にもめどが立ち始め、単独経営も可能だと判断した。大型投資を加速させるため、新規株式公開による資金調達も狙う 。
12月1日にバッテリー事業を手掛ける「LG Energy Solution」を発足させる。新会社ではバッテリーの製造をはじめ、保守点検やリース、再利用など幅広く事業を展開していく。
LG Energy Solutionは2022年1月27日、韓国取引所に上場した。LG化学は同社株82%を持つ。
2020/9/19 LG Chem、電池部門を分社 (2020年12月1日発足)
LGは現在、米国ミシガン単独工場の増設を進めている。これに加え、GMと3カ所、Stellantis (Fiat Chrysler Automobiles とPeugeot の統合会社)と1カ所の合弁会社工場を持つ。昨年、ホンダとの契約を締結した。
(LG単独)
LG単独ではミシガン州Hollandに5GWhの工場を持ち、GM、Ford Motor、Chrysler などに供給している。
LG Energy Solution は2021年3月12日、2025年までの5年間で米国に45億ドル以上を投資すると発表した。少なくとも2工場を建設、米国での電気自動車の成長に対応し、能力を70GWh増やす。
(LG / GM)
LGはGMとのJVのUltium Cells LLCで、オハイオ州 Lordstown の近辺に23億ドルを投資して生産能力30GWhの次世代グローバルEVバッテリーシステムの生産工場の建設中。
2020/1/3 GMとLG Chem、世界最大級のEV用電池工場建設計画を発表
GMとLGは2021年4月16日、第二工場のテネシー州Spring Hillでの建設を発表した。能力は35GWh。
GMは2022年1月25日、EVの生産能力の強化に向けて、米国で3つ目となる新たな電池工場の建設を発表した。LG Energy Solution との50/50 JVのUltium Cells LLCが26億ドルを投じ、ミシガン州 Lansing に第3工場を建設する。
2022/1/28 GM、米国で3つ目の電池工場を建設、電気自動車生産投資も
両社は4番目の工場建設を協議してきたが、今回、破談となった。
(LG / Stellantis)
Stellantis N.V.()は2021年10月18日、LG Energy Solutionと合弁会社を設立し、北米で電動車用の電池を生産すると発表した。
StellantisとLG Energy Solutionは2022年3月23日、本契約を締結した。立地はカナダのオンタリオ州 Windsor (デトロイト市に隣接)で、能力は45 GWh。
Samsung SDIとの間でもIndiana州にJVを設立した。
2022/5/27 Stellantis、米国での2つのEV向け電池合弁会社の内容が確定
(LG / ホンダ)
本田技研工業と韓国のLG Energy Solution は2022年8月29日、北米で生産販売されるHondaおよびAcura(プレミアム・ブランド)のEV用リチウムイオンバッテリーを米国で生産する合弁会社の設立に合意した と発表した。
韓国のバッテリー・メーカーが日本の完成車メーカーと合弁するのは今回が初めて。
新たな合弁会社は2022年中に設立される予定で、出資比率はLGが51%、ホンダが49%とされる。
両社は総額約44億USドルを投資し、米国に生産工場を建設する。今後、建設地の確定を経て、2023年初頭に着工し、2025年中の量産開始を予定している。
この工場で生産されるリチウムイオンバッテリーは、全量が 本田の北米工場へ供給される予定で、その生産能力は最大約40GWhを目指している。
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SK Onは、ジョージア州に二つのバッテリーセル工場、ケンタッキーとテネシー州にFordとのJVのバッテリー工場をもっている。
SK on とFordの合弁の米国の電気車用バッテリー生産会社「Blue Oval SK」が公式発足した。2022年7月14日に発表された。
社名 工場 能力 操業開始 SK Battery America Georgia No.1 9.8 GWh 2022 Georgia No.2 11.7 GWh 2023 BlueOval SK
(JV with Ford)Kentucky No.1, 2 86 GWh 2025~ Tennessee 43 GWh
SK On は、米 Ford Motor とトルコ財閥の Koc Holdingの3社による合弁としてトルコでの電池合弁工場の建設を計画していたが、これを白紙撤回する見通しとなった。資金調達の不調や物価高などで3社の協議が進まなかったという。
Ford はSKとの交渉が難航するなか、代案としてLG Energy Solutionにバッテリー合弁工場を提案し、関連協議を進めているとされる。 ただ、LG Energy Solution側はまだ関連協議が具体的に決まったことはないと明らかにした。
2023/1/11 韓国SK On のトルコの電池JV計画 白紙撤回へ
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もう1社の韓国電池大手のSamsung SDI も2021年10月22日、Stellantis N.V.()との間で米国で合弁会社を設立し、電気自動車用の電池工場を建設する覚書を締結したと発表した。
Stellantis N.V.は上記の通り、LG Energy Solutionと合弁会社を設立し、北米で電動車用の電池を生産すると発表している。
Stellantisは両社との同時契約で、Samsung SDIの得意な、安定性が高いとされる「角形電池」と、LGの軽量で高出力な「パウチ型電池」の2種類を安定調達する狙いがあるとみられる。
Samsung SDIは現在、韓国と中国、ハンガリーで電池工場を持つが、米市場のEVシフトの潮流に乗り遅れないように米国進出を検討してきた経緯がある。(同社はミシガン州にバッテリーパックの組み立て工場は持っている。)
稼働 韓国(蔚山〉 5万台 中国(西安) 4万台 ハンガリー(Goed) 5万台 合計 14万台
2021/10/25 Stellantis、米国でSamsung SDI とも合弁でEV電池生産
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