LG化学、米抗がん新薬企業AVEO Pharmaceutical の買収を終了

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LG化学は1月19日、米国の抗がん剤開発会社AVEO Pharmaceutical の買収を成功裏に終えたと発表した。(その後の発表では社名を AVEO Oncology an LG Chem Company としている。)


LG化学は2022年10月18日、腎臓がん治療剤を保有する米国の製薬会社AVEO Pharmaceuticals, Inc を買収すると明らかにした。買収金額は5億6600万ドルで、AVEOの株式100%を確保することになる。

AVEOは2021年にFDAから腎臓がん標的治療剤 FOTIVDA(tivozanib)の承認を受け、8月には米国抗がん剤治療ガイドラインの「勧告薬剤地位」を取得した。

「tivozanib」は、2006年12月にAVEOが協和発酵キリンより導入した経口トリプル血管内皮細胞増殖因子(VEGF:Vascular endothelial growth factor)受容体阻害剤である。欧州連合とノルウェー、アイスランド、ニュージーランドで進行性腎細胞がん(RCC)の成人患者の治療薬として承認されている。


AVEO
アステラス製薬と共同で進行性腎細胞がん患者を対象とした「tivozanib」 の開発を行った。

アステラス製薬は2011年に、AVEOと同社ががん治療薬として開発している「tivozanib」について、日本を含むアジア・中東を除く全世界での開発・商業化に関する契約を締結した。

両社は今後、「tivozanib」の広範囲な開発プログラムを共同で進めていくが、北米での開発・商業化はAVEOの主導で、欧州での開発・商業化はアステラス製薬の主導で行う。北米および欧州における開発・商業化に関わる費用及び利益は両社で折半する。

北米・欧州を除く契約地域についてはアステラス製薬が独占的開発・販売権を有しており、アステラス製薬が当該地域における開発及び商業化に関わる費用を負担するとともに、AVEOに対し当該地域の売上に応じて漸増する二桁台のロイヤリティを支払う。製造についてはAVEOが責任を持つ。

本契約に基づき、アステラス製薬はAVEOに対し、契約締結時一時金として125百万ドルを支払う。また、種々の開発マイルストン達成に伴う総額575百万ドル(腎細胞がんにおける申請および承認時の90百万ドルを含む)のほか、売上達成に応じて780百万ドル以上の追加一時金を支払う可能性がある。

なお、協和キリンは2006年に「tivozanib」の全疾患に関する権利をAVEOに導出する契約を締結したが、2019年に両社間の契約を見直し、協和キリンが欧米を含むAVEOのテリトリーにおける「tivozanib」の非がん領域の権利を再度取得することとなった。

LG化学は今回の買収で米国内の抗がん剤商業化力と独自開発新薬に対する市場を確保することになった。「今回の買収決定はLG化学のバイオ事業40年以上の歴史で最も重要な里程標で、世界への跳躍の軸を用意することになった。米国商業化能力を持続強化し現地売り上げ拡大を積極的に進め、抗がん剤中心の米国の臨床・許可能力を高めてグローバル革新製薬会社としての跳躍にスピードを出すだろう」としている。



2002年にボストンで設立されたAVEOは抗がん剤市場に特化した力を持つ製薬会社で、2010年にナスダックに上場した。現在頭頸部がん治療剤臨床3相を進めるなど、3件の新薬開発研究開発プロジェクトを進行中。

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