Ford は2月13日、ミシガン州Marshall近郊に35億ドルを投じて電気自動車(EV)用のリン酸鉄リチウムイオン(LFP) 電池製造工場 BlueOval Battery Park Michigan を建設する計画を発表した。
同社は現在、韓国のSK InnovationとのJVのBlueOvalSKでテネシー州とケンタッキー州に3つの電池工場を建設している。
今回はFordの単独事業で、中国の大手電池メーカー、寧徳時代新能源科技(CATL)から技術のライセンス供与や技術支援を受ける。CATLは出資はしない。
FordとCATLは2022年7月21日、北米、欧州、中国での電池供給に関するGlobal Strategic Cooperation で合意した。CATLは2023年にFordの北米でのMustang Mach-E向け、2024年初めの同じくF-150 Lightning 向けにLFP電池を供給する。
新工場は、当初の生産能力がEV年間40万台分に相当する35ギガワット時で、2026年に稼働する予定。Fordはこの工場を含め、これまで北米と欧州に4カ所の電池製造工場建設を表明している。
リン酸鉄リチウムイオン電池はエネルギー密度の低さなど制約もあるが、Fordが工場建設を推進している背景には、CATLの技術によるコスト低下や再充電速度の向上などを通じて大口購入の法人など多くの顧客を取り込めるとの判断がある。
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Tesla は2021年10月20日の発表文で、同社が、航続距離が標準的なモデルの車載用電池については、リン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池に世界的に移行する計画だと述べた。
同社は中国では寧徳時代新能源科技(CATL)から供給されるLFP電池を使用している。
CATLのLFP電池は正極側にリチウムや鉄、リンを使い、長寿命で、最高800℃までの耐熱性を有し、安全性と信頼性に優れていると言われる。火災や振動、衝突など様々な危険な状況を想定した300項目以上の試験で検証しているという。
Teslaは2023年1月24日、巨大電池工場を運営する米西部ネバダ州Renoに36億ドルを追加投資すると発表した。小型電気自動車(EV)200万台分に相当する100ギガワット時の年間生産能力を持つ電池工場 と、同社初の商用車であるEVトラック「Semi」の量産工場も新設する。
Teslaの米国製EVには、これまでパナソニック製の円筒型セルが採用されてきたが、今回はTeslaがLFP電池を自製すると見られる。
2023/1/31 テスラ、米ネバダ州でEV電池増産 36億ドルを追加投資
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Fordの米国内の電池生産は、昨年成立したインフレ抑制法(IRA)に基づく補助金を得ることもできる。
新法では、低・中所得者がエコカーなどの新車を購入する際に、下記の条件を満たした場合、1台当たり最大7500ドルの税控除を受けられる。
主な要件(控除額は個人の場合)
税額控除額価格が5.5万ドル(バンやSUV、ピックアップトラックは8万ドル)未満であること 必須 - 車両の最終組み立てが北米(米国、カナダ、メキシコ)で行われていること 必須 - 電池材料の重要鉱物のうち、調達価格の40%が自由貿易協定を結ぶ国で採掘あるいは精製されるか、北米でリサイクルされていること どちらか
必須3,750ドル 電池用部品の50%が北米で製造されていること 3,750ドル
しかし、新車購入者のほかに、インフレ抑制法の条項45Xでは、上記条件を満たした車載電池メーカーに対し「先進製造業生産控除」と呼ばれる補助金が1キロワット時当たり35ドル割り当てられる。
Teslaはこのメリットを強調しているが(パナソニックとのJVの場合は35ドルを折半することになる)、Fordも、今回の工場建設決定に際してはIRAが非常に重要な要素になったとし、この補助金が2026年までのEV事業における目標としている利益率8%の達成に役立つとの見方を示している。
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