日本産業パートナーズ、東芝買収の最終提案を提出

| コメント(0)

日本産業パートナーズ(JIP)などの連合が2月9日、東芝に買収の最終提案を提出した。JIPに対し、銀行団が計1兆4千億円の融資を約束する文書を出し、資金調達にめどがついた。

海外投資家ら「物言う株主」の関係者を含む東芝の経営陣が提案を受け入れるかどうかが今後の焦点となる。

ーーー

東芝は2022年4月21日の取締役会で、パートナー候補となりうる潜在的な投資家やスポンサーから、企業価値向上に向けた戦略的選択肢(非公開化を含む)に関する提案を募集することを決議した。

東芝は7月19日の取締役会で、応募した10件のなかから第2次入札プロセスに招聘する複数の本パートナー候補を選定した。非公開化に関する提案と、上場維持を前提とした戦略的資本業務提携に関する提案が含まれている。

報道では、下記の各社が選ばれたとされた。

1.産業革新投資機構(JIC) / 日本産業パートナーズ(JIP)

2. 米大手投資ファンド Bain Capital

東芝の筆頭株主で旧村上ファンド出身者がシンガポールで設立した Effissimo Capital Managementは、Bain Capitalが東芝株を公開買い付けした場合、保有株をすべて応募する方針であることが、Effissimoが3月31日に関東財務局へ提出した変更報告書で明らかになった。

2022/4/5 Bain Capital が東芝の買収を検討

3. 欧州拠点のCVC Capital Partners

4. カナダのBrookfield 唯一、東芝の上場維持を前提とした提案をしている。

東芝は改正外為法で国が特に重要な「コア業種」として位置付ける原子力事業を抱えており、買収には国の重点審査が不可欠である。このため、Bain CapitalやCVC Capital Partnersの単独での買収は難しい。日本企業による買収に融資または優先株による出資で参加するのではないかとみられる。

2022/7/22 東芝再編、4陣営に絞り込み? 


9月下旬に官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)が共同で2次入札に進んだ日本産業パートナーズ(JIP)との連携を解消する方針であることがわかった。東芝への出資戦略をめぐり意見に隔たりが生じた。

日本産業パートナーズ(JIP)は国内企業の出資を募り2次入札に臨む方針で、オリックスなどの10社超に対し、東芝への出資に参加するよう打診し、日本企業を交えた連合体での落札を目指している。

これに対し、産業革新投資機構(JIC)は、事業会社の参加に消極的で、国内外のファンドとの連携を模索しており、同じく2次入札に進んでいる米Bain Capital と連合を組む方向で調整しているという。


東芝が国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)に優先権を与えたことが10月11日に報じられた。今後、買収価格などの詳細な条件の協議を始める。

2022/10/13 東芝再編の状況 



東芝の経営再建を巡り、優先交渉権を得た国内ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)が、日本企業十数社から買収資金として計約1兆円の出資の意向を取り付け東芝に提示したことが11月7日に分かった。

足元の株価をもとにした2兆2000億円程度で全株を買い取って非公開化することを軸とした正式提案を出したとされる。

関係者の話では、参画する企業は下記のとおりとされる。

オリックスが出資と融資で最大3000億円程度
中部電力が1000億円弱を出資
JIP自身も1000億円を出資
ロームの投資額は最大で3000億円規模と参加企業で最大級  半導体の原材料調達や生産での協業を探る
スズキも数百億円を出資  東芝から車載リチウムイオン電池を調達
大成建設も出資する見通し

日本企業全体で十数社が合計1兆円を出資
各社は東芝への出資を通じ、連携による事業拡大や技術の維持につなげる。

ただし、JIPは買収資金のうちの融資について銀行団からの確約を得られておらず、銀行が融資する意思を示したことを証明する「コミットメントレター」は期限の11月7日までに提出できなかった。

ーーー

今回、今回の融資を取りまとめる三井住友銀行が2月9日未明までにJIPに対し、総額1兆2000億円の融資を確約する「コミットメントレター」を送った。これとは別に東芝が決められた範囲で運転資金を引き出せる2000億円のコミットメントライン(融資枠)も設ける。

東洋経済によると、融資の内訳は次のとおり。合計1兆4000億円のうち、三井系の2行が過半数を負担することで、折り合いがついた。

三井住友銀行(主力行) 5,150億円
三井住友信託(準主力) 2,200億円
(三井系 合計) 7,350億円 52.5%
みずほ銀行 (主力行) 4,600億円 33%
三菱UFJ銀行 1,600億円
あおぞら銀行 450億円
合計 14,000億円 100%


あおぞら銀行は2013年2月に、オペレーショナル・リスク管理など金融機関の内部統制をサポートするソリューション分野で東芝ソリューションと本格的な協業を開始している。


各行は2022年12月までに融資の方針を固めていたが、財務制限条項(コベナンツ)の条件などをめぐってJIPなどと調整を続けていた。

財務制限条項とは、金融機関が債務者に対して貸付を行う際に付与する条件のひとつで、その契約において、債務者の財政状況が定めた基準条件を下まわった場合に、債務者は期限の利益を喪失し、金融機関に対して即座に貸付金の返済を行うことと定められている。 金融機関にとっては、融資先の倒産による貸し倒れリスクを予め軽減するための対策 である。

財務制限条項には、「経常利益が2期連続して赤字にならないこと」といった損益に関するものと、「純資産が前期比75%を下回らないこと」といった 財産に関するものなどがある。

最終的な条件は明らかになっていないが、「将来、財務が悪化した場合には、東芝が事業売却を迫られる可能性はある」という。業績不振事業を売却することや、銀行からの役員を受け入れること、経営監視のために投資家の代表者を含む委員会を設置するよう、求めているという。


JIPは出資金1兆円、銀行融資1兆2000億円(融資枠2000億円を除く)の合計2兆2000億円から、買収後の東芝の運転資金などは除き、買収に充てる額としては2兆円規模を想定している。

東芝の株価は再編への期待を織り込んで高値圏にあり、足元の東芝の時価総額は1.99兆円だから、ほとんどプレミアムはつかないことになる。

東芝はJIP案について社外取締役7人で構成する特別委員会で詳細を議論していた が、提案を受け入れるかどうか検討を急ぎ、最終的には12人いる取締役会で判断する。

東芝の業績は悪化しており、JIP案より好条件の提案が短期間で出てくるかは不透明 である。

コメントする

月別 アーカイブ