英・EU、北アイルランド物流規則巡り合意 

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スナク英首相とEUのフォンデアライエン欧州委員長は2月27日、英国のEU離脱(Brexit)を巡る争点となってきた英領北アイルランドの物流規則を巡り合意したと発表した。

スナク首相は記者会見で、英国とEU間の「国境という感覚」を排除することで合意したと述べた。離脱協定を一部見直し、北アイルランドでの物流・関税規則を緩和する。

ブレグジットに伴い締結された「北アイルランド議定書」は、北アイルランド紛争の再発を避けるためアイルランドと北アイルランドに厳格な国境管理を設けず、EU単一市場を保護することを目的とし、2021年の発効以来、北アイルランドと英本土間の貿易に支障をきたしていた。

同じ英国内であるにもかかわらず、北アイルランドに入る品物には通関検査が必要となり、英本土との間に経済上の国境が生まれていた。

英は2021年1月にEUを離脱、北アイルランドとアイルランド間の貿易に関しては、2019年に英とEU間で交わされた「北アイルランド議定書」が発効した。この議定書では、北アイルランドとEU間の通商に支障が出ないよう、税関など国境管理措置を設けないと定められているが、これにより、北アイルランドと残りの英との間にEU法にのっとった税関が必要になっていた。

現在、議定書にのっとって検査や規制が行われており、北アイルランドへ物品を輸入している企業は、追加コストや手続きの煩雑さといった問題に直面している。特に規制の厳しい食品や園芸といった分野で苦労が多いという。

一方で北アイルランドからアイルランドへの輸出では、EU市場への摩擦のないアクセスが維持されているため、食品を含む輸出業者は恩恵を受けている。

英政府は2021年7月21日、北アイルランドで起きている物流などの混乱をおさめるため、英領北アイルランドでの通商ルールについてEUに再交渉を求めると発表したが、EUは再交渉に応じなかった。

2021/7/24 英、EU離脱ルール再交渉を要求、EUは拒否

英政府は2022年6月13日、2019年に欧州連合(EU)と交わしたEU離脱後の通商協定の「北アイルランド議定書」を破棄する計画を発表した。国益を守るために「ほかに道がない」としている。今回の「北アイルランド議定書法案」は今後、英議会で審議・採決される。 (現時点では採決されていない。)

この案では、英本土から北アイルランドに入る貨物の扱いについて、次のように改定する。

北アイルランドにそのまま留まる貨物はグリーンレーンを使い、チェック無し、書類も簡単。

北アイルランドを通ってアイルランドや他のEU諸国に運ばれるものはレッドレーンを使い、北アイルランド港湾でチェックを受ける。

物品検査に関する「不必要な」事務処理をなくし、北アイルランドの企業が英の他の地域の企業と同様の税制優遇措置を受けられるようにする。

また、あらゆる貿易紛争を欧州司法裁判所(ECJ)ではなく、「独立した仲裁」によって解決する。

2022/6/20 英政府、北アイルランド議定書の一部を破棄する法案を発表


今回、英本土から北アイルランドへの品物の輸送に関しては、最終目的地別に品物を分類し、北アイルランドにとどまる商品の通関上の手続きをほぼ廃止する。密輸を防ぐための最低限の検査だけを残す。

北アイルランドを経由してEU加盟国のアイルランドに向かう商品は、英EU間の通常の通関手続きや商品検査を行う。

実質的には、上記の英国政府案と余り変わらないように見える。

合意が受け入れられれば、新しい変更点は今後数年間で段階的に導入されることになる。議会採決は全ての政党が検討する時間を持った後に行われる。

英・EUの合意を受け、英政府は、北アイルランドの物流規則の一方的な変更を目指したアイルランド議定書変更に向けた法案を前進させないと明らかにした。さらに、EUは英国に対する全ての法的措置を撤回するとした。

北アイルランドの親英派の最大政党、民主統一党のドナルドソン党首は英・EU間の合意について「特筆すべき進展」と評価しつつも、党としての決定は急がないとし「経済の特定の分野において、EUの法律が北アイルランドでも適用されるという事実を覆すことはできない」と述べた。

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