米国の電気自動車税額控除の新しい対象発表

| コメント(0)

米政府は4月17日、Inflation Reduction Actにより、消費者が電気自動車(EV)を購入する際に税優遇の対象となる車種の新たなリストを明らかにした。

米政府は自国市場のEVについて、消費者が最大7500ドルの税額控除を得られる販売支援策を採っている。4月18日からInflation Reduction Actに含まれた電池材料についての新たな要件を適用するのにあわせ、対象車種を更新した。

低・中所得者がエコカーなどの新車を購入する際に、下記の条件を満たした場合、1台当たり3,750ドルか、7,500ドルの いずれかの税控除を受けられる。

主な要件(控除額は個人の場合)
税額控除額
価格が5.5万ドル(バンやSUV、ピックアップトラックは8万ドル)未満であること 必須 -
車両の最終組み立てが北米(米国、カナダ、メキシコ)で行われていること 必須 -
電池材料の重要鉱物のうち、調達価格の40%(2027年から80%)が自由貿易協定を結ぶ国で採掘あるいは精製されるか、北米でリサイクルされていること どちらか
必須
3,750ドル
電池用部品の50%(2029年から100%) が北米で製造されていること 3,750ドル


2023年3月28日に「重要鉱物のサプライチェーンの強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」(日米重要鉱物サプライチェーン強化協定:日米CMA)が署名され、即日発効となった。米国は、同協定をインフレ抑制法(IRA)上のFTAとみなす。


発表された対象車種は下記の通り。全て米国メーカーのものである。(Stellantisは多国籍企業だが、対象は元々米国車である。)

最大の控除額7500ドルが適用されるEVとPlug-in Hybridは合計でわずか10車種にとどまる。バッテリーの構成部品や重要鉱物の調達先に関する要件が厳格化され、Plug-in Hybridの車種は大半が対象外となった。

Stellantis、Ford、Teslaが生産する別の計7車種には、最大額の半分となる3750ドルの控除が適用される。

Maker Model

Tax Credit

Stellantis North America
(PSA/ Fiat Chrysler
Chrysler Pacifica $7,500 Plug-in Hybrid
Jeep Wrangler PHEV 4xe $3,750 Plug-in Hybrid
Jeep Grand Cherokee PHEV 4xe $3,750 Plug-in Hybrid
Ford Ford F-150 Lightning $7,500 EV
Ford e-Transit $3,750 EV
Ford Mustang Mach-E $3,750 EV
Ford Escape Plug-in Hybrid $3,750 Plug-in Hybrid
Lincoln Corsair Grand Touring $3,750 Plug-in Hybrid
Lincoln Aviator Grand Touring $7,500 Plug-in Hybrid
GM Chevrolet Bolt $7,500 EV
Cadillac LYRIQ $7,500 EV
Chevrolet Silverado $7,500 EV
Chevrolet Blazer $7,500 EV
Chevrolet Equinox $7,500 EV
Tesla Tesla Model 3 Performance $7,500 EV
Standard Range $3,750
Tesla Model Y $7,500 EV


日欧韓メーカーの車はすべて対象外となった。

各社はそれぞれ、今年初めの時点では少なくとも税額控除の一部が適用される車種を有していたが、18日からは適用外となる。

現代自動車がアラバマ工場でことし3月から生産している「GV70」モデルは、北アメリカでの生産という条件は満たすが、バッテリーが中国製だという理由で除外された。

日産リーフも米国で生産されているが、車載電池に関する二つの要件をどちらも満たせなかった。日産は声明で「サプライヤーと緊密に連携し、将来的には、少なくとも一部の優遇策が適用されると期待している」と強調した。

BMW BMW 330e
BMW X5 xDrive45e
現代自動車 Genesis Electrified GV70
日産自動車 Nissan Leaf
Rivian (USA) Rivian R1S
Rivian R1T
Volkswagen ID.4
Audi Q5 TFSI e Quattro(plug-in hybrid)
Volvo S60(plug-in hybrid)

  * Volvoは資本金の82%を中国の浙江吉利が出資

米国では4万〜5万ドルがEVの売れ筋になって おり、最大7500ドルの税控除は価格競争力を維持するうえで無視できない。各社は税優遇を受けるため、北米生産を加速したり、調達網を見直したり体制整備を急ぐことにな る。

コメントする

月別 アーカイブ