バングラデシュとロシア、原発プロジェクトの人民元建て決済で合意

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バングラデシュがロシアの支援を得て建設している原子力発電所について、人民元で代金を支払うことで両国政府が合意した。

バングラデシュでは126億5000万ドルを投じて2基の原発を建設する計画で、現在はロシア国営原子力企業ロスアトムと共同で1基目を建設中。

建設費の90%はロシアからの融資で、10年の猶予期間が設けられ28年以内に返済する。

今回は、原発建設の準備作業のためにロシアが払い込んだ融資5億ドルの返済に関係するものである。

バングラデシュ政府高官は「ロシアは当初ルーブルでの支払いを要求してきたが、われわれには不可能だ。従って人民元で支払うことで合意した」と説明した。

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バングラデシュでは1961年に原子力発電計画が浮上、1963年にRooppur(ルプール)を建設地に選定した。

2010年にロシアと原子力協力協定を締結、ルプール発電所計画を国会承認した。

2015年にロシア国営原子力企業ロスアトムと建設契約に調印、総額126.5億ドルで、ロシアが90%を融資する。

2017年11月に1号機着工、2018年7月に2号機が着工した。いずれもVVER-1200 (AES-2006)で各120万kW。

フル稼働すれば、2400メガワットの電力を発電でき、電力不足に苦しむ国内の1500万世帯に十分な電力を供給できる計算となる。


建設費用の90%をロシアからの融資でまかなっており、借入期間は28年、猶予期間は10年となっている。この返済は2027年まで始まらない。

しかし、原発建設の準備作業のためにロシアが払い込んだ融資5億ドルの返済は既に始まっているが、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻して以来、バングラデシュは合わせて1億1000万ドルに上る3回の債務返済を履行できなかった。 これを含め、318百万ドルが未払いとなっている。

トラブルは2022年3月にロシアの大手銀行数行が国際的な資金決済の大半を扱う「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から締め出されたことで発生した。ルプール原発プロジェクト向けの手続きを扱うロシア政府系金融機関、国営開発対外経済銀行(VEB)も追放された銀行である。

ロシアはバングラデシュ銀行に対し、国内の市中銀行にSWIFTのロシア版といえる「SPFS」への参加を促すよう求めていた。だが、バングラデシュの金融機関は米国の制裁を恐れてSPFSの利用に興味を示さなかった。

2022/3/4 EU、ロシア7銀行をSWIFTから排除

貸付金をルーブルで返済する案に対しても、バングラデシュ政府は複雑な手続きや為替リスクを理由に難色を示していた。

今回、人民元での支払いで合意したもの。

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