主要企業の2023年3月期決算  信越化学

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各セグメントともに2年続きの増収増益で、全社の営業損益が 前々年の2.54倍、前年の1.48倍の9,982億円と、1兆円にもう少しとなった。 経常損益は1兆円を超えた。

特に塩ビが中心の生活環境基盤の営業損益が5,413億円となり、前々年比で5.43倍という脅威的な伸びである。

株主帰属損益 も前年の1.42倍の7,082億円となった。年間配当は 前々年250円を前年に400円に増やしたが、本年は更に500円に増やした。

単位:億円 (配当:円)

  売上高 営業損益 経常損益 株主帰属
当期損益

配当

中間 期末
2021/3 14,969 3,922 4,051 2,937 110 140
2022/3 20,744 6,763 6,944 5,001 150 250
2023/3 28,088 9,982 10,202 7,082 225 275
前年比 7,344 3,219 3,258 2,081 75 25
2024/3

未定





営業損益

2021/3月期にセグメントを変更した。(2021/3実績は新旧セグメントで表示)
2021/3の旧セグメントでの塩ビ・化成品と、新セグメントでの生活環境基盤がほぼ同額であるため、ほぼ同じとみなせる。

2023/3では、塩ビが中心の生活環境基盤が大増益 (前年比1.7倍、前々年比では5.4倍)となったほか、他のセグメントも増益となった。

2011/3 2018/3 2019/3 2020/3 2021/3 2021/3 2022/3 2023/3 増減
塩ビ・化成品 197 932 1,065 922 970 生活環境基盤
(塩ビほか)
996 3,178 5,413 2,236
シリコーン 341 520 585 615 451 機能材料
(シリコーンほか)
707 948 1,306 358
機能性化学品 129 257 266 277 218
半導体シリコン 389 930 1,320 1,433 1,441 電子材料
(半導体シリコンほか)
2,061 2,448 3,014 566
電子・機能材料 361 616 670 685 702
その他 73 115 133 148 143 加工・商事 163 209 264 55
全社 3 -2 -3 -20 -3 -5 -19 -15 4
合計 1,492 3,368 4,037 4,060 3,922 3,922 6,763 9,982 3,219


生活環境基盤の売上高(億円)は下記の通りで、米国のShintechが増産で大増収となっている。

2022/3 2023/3
国内生産 1,280 1,392 1.09倍
海外生産 7,291 11,688 1.60倍
合計 8,571 13,080 1.53倍

Shintechでは2020年初めに初のエチレン設備が完成した。2021/3月期以降、これがフルに貢献している。

PVC増設第一期が2021年下半期に完成した。2022/3月期には一部、2023/3月期にはフルに貢献している。

更に2023年末には第二期が完成する。2024/3月期にはこれが一部貢献する。それ以降には全てがフルに貢献する

   Shintech 能力(万トン)     (赤字は発表文からの推定 )

立地 PVC VCM

NaOH

エチレン
Texas州 Freeport  145   -   -
Louisiana州 Addis   58   -   -
Plaquemine   60   160  106
2013/6 増設 32 30 20
手直し 7 3
2020年初め 完成 50
Ⅰ 2021年下期 完成 14.9億ドル 29 40 27  
Ⅱ 2023年末 完成 12.5億ドル 38 58 39
今回増設後合計 362  295   195 50

Shintechの分析については下記に記載。

2022/5/2 主要企業の2022年3月期決算  信越化学、営業利益 6,763億円

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信越化学代表取締役会長の金川 千尋氏は、2023年1月1日に肺炎のため逝去した。満96歳で現役の会長として亡くなった。

金川会長は、1947年に旧制第六高等学校を卒業、1950年に東京大学法学部を卒業し極東物産(現・三井物産)に入社。

1962年に信越化学に入社し、海外事業本部(現・国際事業本部)にて欧州、中米、南米での海外事業を次々と開拓したのち、1973年にはシンテック社(本社:米国テキサス州)を自らの企画立案により米国企業との合弁で設立。

その3年後に合弁相手の持ち分を買取ることで同社を信越化学の100%子会社とし、1978年に取締役社長に就任した。

「塩ビは社会と環境に貢献する優れた樹脂で、需要は伸び続ける」という信念のもと、塩ビの生産工場の大型の新増設を自己資金により繰り返し実施し、フル生産フル販売を継続することで、同社を世界一の塩ビメーカーに育て上げた。

(同社発表文より)

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各社の決算は発表の都度、下記にまとめています。

http://www.knak.jp/kessan/


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