コア営業損益は増益だが、非コア損益で多額の赤字を計上、株主帰属損益は減益となった。
なお、田辺三菱製薬が多発性硬化症治療剤「ジレニア」のNovartis Pharma へのライセンスの係争で過去3年間、ロイヤリティ収入の計上を止めていたが、仲裁で勝ち、本年度に過去分を含め1259億円を計上 した。
この過去分を除外するとコア損益も減益と思われる。
単位:億円 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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2021/3月期と2023/3月期に多額の特別損失を計上した。いずれもMMAと田辺三菱製薬関連分が大きい。
2021/3 2023/3 MMA テキサス州工場閉鎖関連損失 -236億円 MMA 英国工場閉鎖関連損失 -687億円 田辺三菱製薬 ニューロダーム減損 -845億円 カナダの新型コロナワクチンメーカー メディカゴ 清算 -574億円 その他 -191億円 その他 -167億円 合計 -1,272億円 合計 -1,428億円
コア営業損益
'19/3 | '20/3 | '21/3 | '22/3 | '23/3 | 増減 | '24/3予 | |
(機能部材) | 382 | 395 | |||||
(機能化学) | 331 | 218 | |||||
Specialty Materials | 597 | 787 | 515 | -272 | 730 | ||
MMA | 944 | 238 | 131 | 318 | -37 | -355 | 100 |
石化 | 87 | -21 | 17 | 446 | 26 | -420 | 160 |
炭素 | 249 | 81 | 10 | 258 | 103 | -155 | 60 |
産業ガス | 633 | 880 | 851 | 989 | 1,210 | 221 | 1,250 |
ヘルスケア | 538 | 165 | 179 | -70 | 1,418 | 1,488 | 200 |
その他/全社 | -23 | -8 | -38 | -5 | 20 | 25 | 0 |
合計 | 3,141 | 1,948 | 1,747 | 2,723 | 3,255 | 532 | 2,500 |
機能商品セグメント(Specialty Materials) : ディスプレイ用途をはじめとして総じて需要が減退したことやインフレを背景とした費用の増加等により、減益
MMA:海外売上で為替の影響等による増加はあるものの、需要の減退に伴い販売数量が減少、MMAモノマー等の市況が下落したことにより減益、赤字となった。
MMAモノマーの価格変動は激しく、損益は極端に変動する。 ('19/3 +944億円、'23/3 赤字)
MMA、石化、炭素は前年は原料価格上昇による在庫評価益が450億円もあり、大増益となったが、当期は本来の姿に戻った。
産業ガス:国内外の需要が堅調に推移したことに加え、燃料価格の上昇に伴う販売価格の上昇や為替影響等により増益となった。
ヘルスケア:田辺三菱製薬のコア営業損益の大半がロイヤリティ収益である。
多発性硬化症治療剤「ジレニア」のNovartis Pharmaへのライセンスの係争で過去3年間、ロイヤリティ収入の計上を止めていた。 本年度に過去分を含め1259億円を計上 した。
2023/2/15 国際商業会議所の仲裁判断で田辺三菱製薬のロイヤリティ収入が復旧
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三菱ケミカルグループは、2021年12月に発表した新経営方針「Forging the future 未来を拓く」において、石化・炭素事業の2023年度のカーブアウトを打ち出した。石油化学事業について、パートナーを選定した上で、2024年度に合弁会社の設立を目指す。炭素事業は売却する。
2023/2/28 三菱ケミカルグループ、経営方針「Forging the future 未来を拓く」に関する今後の実行計画
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