主要企業の2023年3月期決算 塩野義製薬

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当期は受取配当が急増し、受取ライセンス料とともに収益に貢献した。 COVID-19 飲み薬ゾコーバが売上高と営業損益に大きく貢献した。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 コア営業 税引前 株主帰属
当期損益

配当

中間 期末
2021/3 2,972 1,174 940 1,430 1,119 53 55
2022/3 3,351 1,103 1,106 1,263 1,142 55 60
2023/3 4,267 1,490 1,585 2,203 1,850 60 75
前年比 915 387 479 941 708 5 15
2024/3 4,500 1,500 1,925 1,550 75 75


売上高

 ・ 2023年3月期には、COVID-19関連売上高として1,047億円を含む。(前年度はゼロ)

新型コロナ飲み薬「ゾコーバ」で、これが前年比増収の大半となる。営業損益への貢献も 極めて大きいと思われる。

2022/7/25 塩野義コロナ飲み薬、「緊急承認」見送り → 承認

同社はワクチンも承認申請している。

2022/11/26 塩野義製薬、COVID-19ワクチンS-268019の国内における製造販売承認申請 

 ・ 塩野義の売上高には下記のロイヤリティを含み、この増加が営業損益に貢献

'17/3 '18/3 '19/3 '20/3 '21/3 22/3 23/3 24/3予
ViiV HIV治療薬 733億円 1,035億円 1,244億円 1,281億円 1,234億円 1,740億円 1,685億円 1,850億円
AstraZeneca クレストール 330億円 226億円 220億円 223億円 166億円 12億円 13億円
その他 94億円 289億円 339億円 165億円 47億円 61億円 49億円 45億円
合計 1,157億円 1,550億円 1,830億円 1,669億円 1,446億円 1,813億円 1,747億円 1,895億円

 
・塩野義が参加するViiVと米国ギリアド・サイエンシズ の特許侵害訴訟が2021年度中に和解、 22/3月期に一時金とロイヤリティ を受領した。

  塩野義は同社のHIV薬(インテグレース阻害薬dolutegravir)でViiVに参加している。

     

ViiV、GSKおよび塩野義は、Gilead SicencesのBiktarvy(bictegravirを含む3剤配合の抗HIV薬)が、塩野義が創製しViiVに権利を移転したdolutegravirならびにその関連化合物を包含する特定の特許を侵害しているとして、2018年2月以降、訴訟を提起した。このたびの和解により、米国、英国、日本をはじめとする全9ヵ国での特許侵害訴訟は中止される。また、ViiV、GSK、塩野義製薬の3社は、Gileadとの間において、ViiVが保有するdolutegravirの関連特許に係るライセンス契約を締結した。

このたびの和解ならびにライセンス契約の締結により、GileadはViiVに対して12.5億米ドルの一時を2022年1~3月期に支払う。加えてGileadは、今後の米国におけるBiktarvyの売上高(参考:2020年 60.9億米ドル)およびbictegravirを成分に含む将来の製品売上高のbictegravirに係る金額に対して、3%のロイヤリティーをViiVに支払う。

塩野義は一時金より230~250百万米ドルを受領する。

・塩野義が受け取ったロイヤリティは、上図の 22/3月期のViiV HIV治療薬に含まれる。

・ViiVが受け取った一時金・ロイヤリティは配当の形で塩野義にも配分される。IFRS方式 を採用する塩野義の決算では、受取配当は金融収益として税引前損益に含まれる。

税引前損益 に含まれる受取配当金

'17/3 '18/3 '19/3 '20/3 '21/3 '22/3 '23/3
配当金 180億円 265億円 299億円 276億円 234億円 130億円 612億円

     
22/3月期の配当は4QにおけるViiV社からの配当金受領の 翌期へのずれで減少
23/3月期 
記訴訟に伴う一時金をViiVが受領したことによる配当金の増四半期に受領予定であったViiVからの配当金が四半期に期ずれしたことによ612億円の多額となった。

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