当期は受取配当が急増し、受取ライセンス料とともに収益に貢献した。 COVID-19 飲み薬ゾコーバが売上高と営業損益に大きく貢献した。
単位:億円 (配当:円) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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売上高
・ 2023年3月期には、COVID-19関連売上高として1,047億円を含む。(前年度はゼロ)
新型コロナ飲み薬「ゾコーバ」で、これが前年比増収の大半となる。営業損益への貢献も 極めて大きいと思われる。
厚生労働省の専門家分科会は2022年11月22日、塩野義製薬が開発した新型コロナ飲み薬「ゾコーバ」の緊急承認を了承した。安全性を確認したほか、症状改善を早める有効性が推定できると判断した。 厚労省は同日、承認した。
政府が200万人分を買い上げた。
「国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品であり、かつ、当該医薬品の使用以外に適当な方法がないこと」が条件の承認であり、利益率は極めて大きいと思われる。
国内で承認されている新型コロナの治療薬と、準備中のものは別紙の通り。
2022/7/25 塩野義コロナ飲み薬、「緊急承認」見送り → 承認
同社はワクチンも承認申請している。
2022/11/26 塩野義製薬、COVID-19ワクチンS-268019の国内における製造販売承認申請
・ 塩野義の売上高には下記のロイヤリティを含み、この増加が営業損益に貢献
'17/3 '18/3 '19/3 '20/3 '21/3 22/3 23/3 24/3予 ViiV HIV治療薬 733億円 1,035億円 1,244億円 1,281億円 1,234億円 1,740億円 1,685億円 1,850億円 AstraZeneca クレストール 330億円 226億円 220億円 223億円 166億円 12億円 13億円 ー その他 94億円 289億円 339億円 165億円 47億円 61億円 49億円 45億円 合計 1,157億円 1,550億円 1,830億円 1,669億円 1,446億円 1,813億円 1,747億円 1,895億円
・塩野義が参加するViiVと米国ギリアド・サイエンシズ の特許侵害訴訟が2021年度中に和解、 22/3月期に一時金とロイヤリティ を受領した。
塩野義は同社のHIV薬(インテグレース阻害薬dolutegravir)でViiVに参加している。
ViiV、GSKおよび塩野義は、Gilead SicencesのBiktarvy(bictegravirを含む3剤配合の抗HIV薬)が、塩野義が創製しViiVに権利を移転したdolutegravirならびにその関連化合物を包含する特定の特許を侵害しているとして、2018年2月以降、訴訟を提起した。このたびの和解により、米国、英国、日本をはじめとする全9ヵ国での特許侵害訴訟は中止される。また、ViiV、GSK、塩野義製薬の3社は、Gileadとの間において、ViiVが保有するdolutegravirの関連特許に係るライセンス契約を締結した。
このたびの和解ならびにライセンス契約の締結により、GileadはViiVに対して12.5億米ドルの一時金を2022年1~3月期に支払う。加えてGileadは、今後の米国におけるBiktarvyの売上高(参考:2020年 60.9億米ドル)およびbictegravirを成分に含む将来の製品売上高のbictegravirに係る金額に対して、3%のロイヤリティーをViiVに支払う。
塩野義は一時金より230~250百万米ドルを受領する。
・塩野義が受け取ったロイヤリティは、上図の 22/3月期のViiV HIV治療薬に含まれる。
・ViiVが受け取った一時金・ロイヤリティは配当の形で塩野義にも配分される。IFRS方式 を採用する塩野義の決算では、受取配当は金融収益として税引前損益に含まれる。
税引前損益 に含まれる受取配当金
'17/3 '18/3 '19/3 '20/3 '21/3 '22/3 '23/3 配当金 180億円 265億円 299億円 276億円 234億円 130億円 612億円
22/3月期の配当は4QにおけるViiV社からの配当金受領の 翌期へのずれで減少
23/3月期 上記訴訟に伴う一時金をViiVが受領したことによる配当金の増加、前第4四半期に受領予定であったViiVからの配当金が第1四半期に期ずれしたことにより、612億円の多額となった。
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