IPEF(インド太平洋経済枠組み)の閣僚級の会合

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日本やアメリカなどが参加するIPEF(インド太平洋経済枠組み)の閣僚級の会合が5月27日、デトロイトで開かれ、参加国が重要な物資のサプライチェーン=供給網を強化していくことで合意した。

中国の影響力が拡大しているほか、新型コロナの感染拡大などを背景として、重要物資の供給が受けられなくなるリスクが高まっていることから、半導体や重要鉱物などを念頭に、中国に依存せずに重要な物資が供給できるよう、相互に協力する仕組みを整えていく。

バイデン米大統領は2022年5月23日、新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足を表明した。日米と韓国、インドなど計13カ国を創設メンバーとし、中国に対抗してサプライチェーン(供給網)の再構築やデジタル貿易のルールづくりなどで連携する。2022年5月26日にフィジーが参加し、現在は14カ国となっている。 (メンバーは下の表を参照)

「デジタル経済のルール作りや強固で強じんなサプライチェーンの確保、エネルギーの転換など、新たな経済の課題に立ち向かうためにデザインされた21世紀の新たな枠組みだ」と説明した。

IPEFは、(1)公平で強靭性のある貿易、(2)サプライチェーンの強靭性、(3)「クリーン経済」(インフラ、脱炭素化、クリーンエネルギー)、(4)「公平な経済」(税、反腐敗)の4つの柱から構成される通商枠組み。

米国の輸入拡大につながる関税の引き下げは交渉しないとしている点が、TPPとは大きく異なる。通常の多国間協定とは違い、議会の承認は得ず、緩やかな連携を目指す。

米国は、各国が枠組みのすべてに賛同しなくても、参加したい分野だけを選んで参加できる珍しい仕組みも検討している。

2022/5/21 インド太平洋経済枠組み(IPEF:Indo-Pacific Economic Framework)

昨年から交渉官が半導体など重要物資のサプライチェーンの強化や、デジタル技術を活用した貿易の円滑化など、4つの分野で交渉を行ってきた。

事前の協議では、4つの分野のうちサプライチェーンの強化に関する分野で交渉が進展している。
その一方で、「貿易」や、「クリーン経済」、「公平な経済」は、議論を主導するアメリカと新興国などとの間で意見の隔たりが残っている。

昨年5月の発足以来、具体的な成果はこれが初めてで、アメリカや日本は今後、他の分野でも協議を加速し、今年11月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議に合わせて、「供給網」以外の分野を含めた全体的な合意を目指したい考えである。

しかし、IPEFは「関税の引き下げ」が交渉の対象になっていないため、東南アジア諸国にとっては輸出拡大などの具体的なメリットが乏しく、今後の交渉は難航が予想される。


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なお、5月25日から26日にかけて、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の貿易担当大臣会合が本年の議長国である米国のKatherine Tai 通商代表の議長のもと、デトロイトで対面形式で開催された。

APEC:

  • アジア太平洋地域の21の国と地域(エコノミー)が参加する経済協力の枠組み。(1989年に閣僚会議として開始。1993年から首脳会議も開始。事務局はシンガポールに所在。)
  • アジア太平洋地域の持続可能な成長と繁栄に向けて、貿易・投資の自由化・円滑化地域経済統合の推進、経済・技術協力等の活動を実施。
  • APECの取組は、自主的、非拘束的、かつコンセンサスに基づく協力が特徴。
  • ビジネス界と緊密に連携している点も特徴。APECビジネス諮問委員会(ABAC)が、ビジネス界の重視する課題を首脳に直接提言。

重要鉱物や半導体などのサプライチェーンの強化や、気候変動問題、食料安全保障などについて議論が行われ、自由で開かれたルールに基づく多角的な貿易システムを強化し、サプライチェーンの混乱に対処することや、世界経済が直面する食料不安や気候変動の課題にも対応していく必要性を確認した。

しかし、ウクライナ侵攻による世界経済への影響に関する文言にロシアや中国などが反発し、共同声明の採択は見送られ、議長声明が出された。
このなかで、「(
ウクライナ情勢についての)状況及び制裁について、他の見解及び異なる評価があった」としている。

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IPEFやAPEC等の参加国は下記の通り。

APEC:アジア太平洋経済協力
IPEF:インド太平洋経済枠組み

RCEP:地域的な包括的経済連携協定

TPP ASEAN APEC RCEP IPEF
参加国数 11 10 21 15 14
日本
韓国
台湾
中国
香港
ロシア

マレーシア
シンガポール
ベトナム
ブルネイ
フィリッピン
インドネシア
タイ
ミャンマー
ラオス
カンボジア
インド
スリランカ

加盟へ

豪州
NZ
米国
カナダ
メキシコ
ペルー
チリ
パプアニューギニア
フィジー


スリランカ大統領は5月25日、都内での講演で、「スリランカは高いレベルの経済自由化を目指し、東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)への加盟を申請する」と話した。





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