BRICS、グローバルサウスを取り込み拡大へ

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中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカでつくるBRICS=新興5か国の外相会議が、南アフリカのケープタウンで6月1日から開かれた。

6月2日にはサウジアラビアやイラン、それにキューバなどBRICSへの加盟に関心を示している国々の代表も参加した会合 ("Friends of BRICS" talks)が開催され、加盟国の拡大について意見を交わした。

出席:Iran, Saudi Arabia, UAE, Cuba, Democratic Republic of Congo, Comoros, Gabon, and Kazakhstan
オンライン参加:Egypt, Argentina, Bangladesh, Guinea-Bissau and Indonesia

中国が加盟国の拡大を積極的に推し進めるなか、これまでにおよそ20か国が加盟に関心を示しているとされている。

南アのパンドール国際関係・協力相は、BRICS拡大の指針を文書にまとめる作業を実務者レベルで続け、「8月の首脳会議で提示したい」と述べた。

ロシアは、ロシアに制裁を行っている国の加盟には反対する立場を示している。

8月の首脳会議はことしの議長国の南アフリカで行われるが、南アは国際刑事裁判所の加盟国であり、逮捕状が出ているプーチン大統領が自国内に入った場合には拘束する義務を負う。南アフリカ政府は「様々な法的選択肢を検討している」としており、どのような対応をとるのかが焦点となっている。

南ア政府は今年1月にはラブロフ露外相の訪問を受け入れて友好関係を確認している。

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ブラジル、ロシア、インド、中国の四か国の第一回の首脳会議は2009年にロシアで開催された。主に通貨問題が話し合われ、新興市場と発展途上国の国際金融機関における発言権と代表性を高めることを求めた。

この新興4か国の総称の"BRICs"は投資銀行Goldman SachsのエコノミストのJim O'Neillが書いた20011130日の投資家向けレポートで初めて用いられ、世界中に広まった。

2011年4月にBRICsに南アを新たに加えた新興5カ国(BRICS)の首脳会議が中国海南省の三亜市で開かれ、「三亜宣言」を採択した。

2011/4/23 BRICsからBRICSへ 


2022年のBRICSの人口は世界人口77億74百万人の42%を占める。

.インド 14億23百万人、中国 14億13百万人、ブラジル 2億14百万人、ロシア 1億43百万人、南ア 61百万人、合計 32億54百万人

2022年に議長国を務めた中国がBRICSの拡大を仕掛けた。激化する米中対立やロシアのウクライナ侵攻で、世界の二分化が深まったが、中立的な立場にとどまろうとするグローバルサウスをうまく取り込めば、有利な状況を築けると中国は読んだ。

これに真っ先に名乗りを上げたのは中東のイランと、南米のアルゼンチン で、両国は2022年6月に加盟を申請している。

イランはロシアに攻撃用ドローンを供給し、中国とも25年間と長期の経済協定を結ぶなど中露両国と関係が深い。反米路線をとるイランのライシ大統領はBRICS加盟を最優先課題に位置づける。

昨年夏時点では、この2カ国が新規加盟し、G7に対抗した「A7」Alternative 7)が結成されるとの観測も高まった。

しかし、加盟希望国は2国にとどまらない。本年の議長国である南アのスークラルBRICS担当大使は、13カ国から正式申請を受けており、非公式を含めると19カ国に達しているとしている。

加盟が噂される国は下記の通り。  

OPEC  OPEC+ その他
既存メンバー ロシア ブラジル、インド、中国、南ア
中東・北アフリカ イラン、サウジ、UAE、
アルジェリア
バーレーン エジプト、トルコ
アフリカ ナイジェリア セネガル
中南米 メキシコ アルゼンチン、ニカラグア
アジア インドネシア タイ、カザフスタン、
バングラデシュ

サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、ナイジェリアなどの産油国が加盟すれば、世界の石油・ガス資源の過半数を押さえることとなる。

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