トヨタは6月1日、米国でのバッテリーEV(BEV)生産と電池工場への追加投資で電動化への取り組みを強化すると発表した。
・Toyota Motor Manufacturing Kentucky, Inc.(TMMK)で2025年からバッテリーEVのSport Utility Vehicle(3列シートSUV)を生産開始する。
トヨタが米国でBEVを生産するのは初めてで、Toyota Battery Manufacturing, North Carolinaで生産する電池を搭載する。
・Toyota Battery Manufacturing, North Carolina
2021/11、ノースカロライナ州のGreensboro-Randolph Megasiteでの建設決定、投資額 12.9億ドル
2022/8、25億ドルの追加投資発表
今回、21億ドルを追加投資し、インフラ整備 (総投資額は59億ドル)
拡大する電動車の需要に必要なリチウムイオン電池を生産・供給
2025年稼働予定、ハイブリッド車(HEV)、バッテリーEV(BEV)用電池を生産
トヨタの米国での電池製造の動きは下記の通り。
同社は2021年10月18日 に、米国において2030年までにBEV用を含む車載用電池の現地生産に約3,800億円(約34億ドル)を投資することを発表した。
トヨタの北米事業体のToyota Motor North America(TMNA)は2021年11月、豊田通商との合弁で Toyota Battery Manufacturing, North Carolina(TBMNC)を設立した。
TMNA90%、豊田通商10%の出資で、車載用電池を製造する。
2025年からの稼働を目指す。
2031年までに約12億9,000万ドル(約1,430億円、※用地、建物の費用を含む)の投資と、現地での新規雇用1,750人を見込む。
2021年12月7日、投資する車載用電池工場の建設地について、ノースカロライナ州のGreensboro-Randolph Megasiteに決定したことを発表した。
2025年の稼働開始時には、4本の生産ラインでそれぞれ20万台分のリチウムイオン電池を生産する。将来、少なくとも生産ラインを6本に拡張し、合計で年間120万台分の電池を供給することを目指す。
トヨタは2050年までにクルマと事業活動両方におけるカーボンニュートラルを達成するための取り組みを続けており、新工場では、100%再生可能エネルギーを使用する 。
2022年8月31日、TBMNCはバッテリー電気自動車(BEV)用電池の生産能力を増強するために、約25億ドルを追加投資 すると発表した。新たに約350名を雇用する予定で、総雇用数は約2,100人を見込む。ハイブリッド車(HEV)、BEV用の電池を生産する。
今回、今後の電池の需要増を見据え、将来の拡張に備えた土台づくりとして、現在建設中のTBMNCに、21億ドルを追加投資し、インフラ整備を進めることを決定した。TBMNCへの総投資額は59億ドルに達する。
ーーー
トヨタ自動車は2023年4月1日付で佐藤恒治執行役員が社長に就任するのに伴い、新体制では「次世代バッテリー電気自動車(BEV)を起点とした事業改革」「アジアのカーボンニュートラルの実現」を重点事業の柱として進めると発表した。
従来、同社ではハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、水素燃料電池車、電気自動車と全方向に向けて対応を進める「マルチパスウェイ」戦略を強調してきた。同社のBEVは22年5月に発売したSUV(多目的スポーツ車)タイプの「bZ4X」のみ。
2021年12月14日、「バッテリーEV戦略に関する説明会」に登壇した豊田章男社長は2030年までに30種類のBEVを発売し、2030年には世界での年間販売台数を350万台、うちレクサス100万台との目標を掲げた。350万台はトヨタの年間販売台数の3分の1にあたる規模。
この時点でも、北米、欧州、中国は100%BEVとしていた。
今後はBEV中心となる。佐藤新社長が「足元のCO2を減らす、省エネルギーの観点の取り組みしながら、中長期的にBEVにシフトする」とした。新CTO(最高技術責任者)の中嶋裕樹新副社長は「様々な現場でBEVの開発は進んでいる。マルチパスウェイの重要な手段の1つ。開発のスピードをより一層上げていきたい」とした。
2026年までに10モデルの電気自動車(EV)を市場に投入し、年間150万台を販売する計画を発表した。
ーーー
米国ではホンダはLG Energy Solutionと組んでいる。
2023/3/7 ホンダとLGの米バッテリー工場 起工式
日産自動車は日米英のバッテリー事業(NECとのJV)を中国のエンビジョンAESCに売却した。
2017/8/15 日産自動車とNEC、バッテリー事業を譲渡
日産は現在もエンビジョンAESCから電池を購入するとともに、英国での同社の増設に協力している。ただし、中国企業が80%出資するエンビジョンAESCの電池を採用した場合、米国で昨年8月に成立した「インフレ抑制法」で税制優遇を受けられない懸念があり、2つめの電池調達先を検討している。
EV減税の対象となる新車について、北米地域での最終組み立てを義務付け、さらにEV用電池の原材料である重要鉱物の調達先を、米国か、米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいる国に事実上制限する。
主な要件(控除額は個人の場合) | 税額控除額 | |
---|---|---|
価格が5.5万ドル(バンやSUV、ピックアップトラックは8万ドル)未満であること | 必須 | - |
車両の最終組み立てが北米(米国、カナダ、メキシコ)で行われていること | 必須 | - |
①電池材料の重要鉱物のうち、調達価格の40%(2027年から80%)が自由貿易協定を結ぶ国で採掘あるいは精製されるか、北米でリサイクルされていること | どちらか 必須 |
3,750ドル |
②電池用部品の50% (2029年から100%) が北米で製造されていること | 3,750ドル |
2023年3月28日に「重要鉱物のサプライチェーンの強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」(日米重要鉱物サプライチェーン強化協定:日米CMA)が署名され、即日発効となった。米国は、同協定をインフレ抑制法(IRA)上のFTAとみなす。
コメントする