塩野義製薬、Medicines Patent Poolによるジェネリック医薬品メーカー7社とのサブライセンス契約締結

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塩野義製薬は6月26日、国連が支援する公衆衛生機関であるMedicines Patent Pool(MPP)との間で2022年10月に締結されたヘッドライセンス契約に基づき、ライセンス先であるMPPが、塩野義製薬が開発したCOVID-19治療薬ゾコーバ®錠125mg(エンシトレルビル)の製造に関するサブライセンス契約を、ジェネリック医薬品メーカー7社と締結したと発表した。

塩野義製薬と、国連が支援する公衆衛生機関であるMedicines Patent Poolは2022年10月4日、塩野義製薬が開発中のCOVID-19治療薬エンシトレルビル フマル酸について、薬事承認を取得した後に、低中所得国に広く提供することを目的としたライセンス契約を締結した。


両者で合意された本契約に基づき、Medicines Patent Poolは低中所得国へのCOVID-19治療薬を広く提供することを目的に、適格な品質で本薬を製造可能なジェネリック医薬品メーカーに対して、本薬の生産および供給に関するサブライセンスを付与することができ、117ヵ国に本薬を供給することが可能となる。

塩野義製薬は、世界保健機関(WHO)がCOVID-19を国際保健上の緊急事態に指定している期間は、本契約の対象となる国で発生する売上に対するロイヤリティの受領を放棄する。

Medicines Patent Pool代表は「今回の公衆衛生に配慮したライセンス契約によって、低中所得国に住む人々がCOVID-19と戦うための適正な価格での治療選択肢を拡大することは、多くの死者数を生んでいるパンデミックに終止符を打つための我々の取り組みを後押ししてくれるものです。
塩野義製薬の関係はこれが初めてではありません。Medicines Patent PoolとViiV(塩野義、Pfizer、GSKのJV)の契約を通じて低中所得国に広く提供されているHIV治療薬のドルテグラビルは、塩野義製薬からViiVにライセンス供与されたものです。
今回の塩野義製薬との提携は、MPPにとって初の日本企業とのパートナーシップです。このパートナーシップが、今後、他の企業との提携を加速するきっかけになることを期待しています」と述べた。

Medicines Patent Pool(MPP)は国連が支援する公衆衛生団体で、低・中所得国の人々の生命を救う医薬品へのアクセスを向上させ、その開発を促進するために活動している。現在までにMPPは18のパテントホルダーと契約を締結している。
(HIV抗レトロウイルス薬13件、HIVテクノロジープラットフォーム1件、C型肝炎直接作用型抗ウイルス薬3件、結核治療薬1件、がん治療薬1件、長時間作用型技術4件、COVID-19経口抗ウイルス治療薬3件、COVID-19テクノロジー12件)

*COVID-19ではMerckの経口治療薬モルヌピラビル、PfizerのNirmatrelvir、塩野義の本件が対象である。
なお、Gilead Sciencesの抗ウイルス薬レムデシビル やAbbvie(特許権者Abbott)のカレトラ(LPV/r+Ritonavir) はMPPを通さずに多数の国に無償ライセンスしている。


今回、サブライセンス契約を締結したジェネリック医薬品メーカー7社は以下の通り。

中国の3社(Zhejiang Charioteer Pharmaceutical / Zhejiang Lepu Pharmaceutical / Shanghai Fosun Pharmaceutical Industrial Development )
インドの2社(Hetero / Laurus Labs Limited)
ウクライナの1社(Joint Stock Company Lekhim)
ベトナムの1社(Stellapharm J.V. )

Medicines Patent Poolが日本の製薬企業との間で初めて締結したヘッドライセンス契約で、7社は今後117の低中所得国でエンシトレルビルの製造・供給が可能となる。

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