米、貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書を公表、日本は初めて「監視リスト」から外れる

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米財務省は6月16日、貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書を公表した。2022年12月31日までの4四半期の外国為替動向を対象としている。

      https://home.treasury.gov/system/files/136/June-2023-FX-Report.pdf

「為替操作国」基準にかかった貿易相手国・地域はなかった。

2019年8月に中国が、2020年12月にスイスとベトナムが「為替操作国」となった。それ以降、2022年11月までの間は、基準では対象となる国があったが、米財務省の判断で実際は非認定となった。
今回は基準でも対象となる国はなかった。

米財務省は為替操作国に指定する条件として(1)対米貿易黒字の規模(2)経常黒字の規模(3)継続的な通貨売り介入――を掲げている。

  従来の基準 2019/5より改正
①重大な対米貿易黒字 対米貿易黒字が200億ドル(米国GDPの約0.1%) 以上 同左
②実質的な経常黒字 経常黒字がその国のGDPの3.0%以上 GDPの2.0%以上
③外為市場に対する介入 GDPの2%以上(ネットで)の額の外貨を繰り返し購入
(12カ月のうち、8カ月
同左
(12カ月のうち、6カ月


3基準全てに該当すれば「為替操作国」となる。

次の場合、「監視リスト」に入る。
  2基準に該当 & 1基準だが、前年「監視リスト」の場合
  なお、中国は常時、「監視リスト」

日本は永く2項目でひっかかり、「監視リスト」に入っていた。前回(2022年11月)に1項目だけとなったが上記のルールにより「監視リスト」のままであった。今回は引き続き1項目だけとなり、「監視リスト」から外れた。

今回は、2項目の台湾、ドイツ、マレーシア、シンガポールと、1項目の韓国とスイス、1項目だが常時「監視リスト」の中国の合計7カ国が「監視リスト」に載った。スイスは過去2回にわたり3項目で問題となったが、今回は1項目だけとなった。

なお、③「外為市場に対する介入」でひっかかったのはシンガポールだけであった。

操作国
3基準  
監視国
2基準  
監視国
1つだが前年に監視対象+中国 丸数字は問題となった項目
                 
  日本 中国 韓国 台湾 ドイツ スイス インド アイルランド ベトナム イタリア マレーシア シンガポール タイ メキシコ
2016/4
2016/10
2017/4
2017/10
2018/4
2018/10
2019/5
 

①②



①②

 

 

①②

①②

①②

①②

②③
2019/8   操作国  
2020/1
①②


①②

①②

①②

 



①②

①②

②③
2020/12
①②


①②

①②

①②
操作国
①③
操作国
①②

①②

②③

①②
2021/4
①②


①②
操作国非認定
①②
操作国非認定
①③

①②
操作国非認定
①②

①②

②③

①②

①②
2021/12
①②

①②

①②
操作国非認定
①②

①③

①③

操作国非認定
①②

①②

②③

①②

①②
2022/6
①②


①②

①②

①②
操作国非認定



①②

②③


2022/11


①②

①②

①②
操作国非認定




②③


2023/6



①②

①②






①②

②③


 

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