中国が半導体材料ガリウムなど輸出規制

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バイデン米政権は2022年10月7日、中国への半導体先端技術の新しい輸出規制を実施すると発表した。

2022/10/10 米国、半導体の対中輸出制限を拡大

西村経済産業相は2023年3月31日、最先端の半導体製造装置23品目について輸出規制を強化すると発表した。改正省令を5月に公布、7月に施行する。

米国は日本とオランダにも協力を求めていたが、オランダは3月8日に先端半導体製造装置の輸出規制を強化すると表明していた。2023年の夏までに公表するが、半導体製造装置のメーカー ASMLが半導体メーカーに販売している深紫外線(DUV)露光装置に関する技術が影響を受ける。

2023/4/4 最先端の半導体製造設備の輸出規制強化

政府は6月30日、先端半導体の製造装置の輸出管理を9月1日から強化すると発表した。 これを受け、オランダの露光装置大手ASMLは同社が手掛ける最先端の液浸DUV(深紫外線)露光装置を輸出する際は、同国政府の許可が必要になると説明した。

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2023年商務部告示第23号 ガリウム及びゲルマニウム関連品目の輸出規制の実施に関する商務部及び税関総局告示

国家安全を守るため、「中華人民共和国輸出管理法」、「中華人民共和国外国貿易法」、「中華人民共和国関税法」の関連規定に従い、国務院の承認を得て、ガリウムとゲルマニウムに関連する品目の輸出規制を実施することを決定した。

以下の特徴を満たす品目は、許可なく輸出してはならない。

(1) ガリウム関連品 1.金属ガリウム(単体)
2.窒化ガリウム(ウエハー、粉末、スクラップ、その他)
3.酸化ガリウム(多結晶、単結晶、ウェーハ、エピタキシャルウェーハ、粉末、スクラップ、その他)
4. .リン化ガリウム(多結晶、単結晶、ウェーハ、エピタキシャルウェーハ、その他)

5.
ガリウムヒ素(多結晶、単結晶、ウェーハ、エピタキシャルウェーハ、粉末、スクラップ、その他)
6.インジウムガリウムヒ素
7.セレン化ガリウム(多結晶、単結晶、ウェーハ、エピタキシャルウェーハ、粉末、スクラップ、その他)
8. アンチモン化ガリウム(多結晶、単結晶、ウェーハ、エピタキシャルウェーハ、粉末、スクラップ、その他)
(2) ゲルマニウム 1. 金属ゲルマニウム(単体、結晶、粉末、破砕物、その他)
2. ゾーン溶解ゲルマニウムインゴット
3. リンゲルマニウム亜鉛(結晶、粉末、破砕物、その他)
4. Ge エピタキシャル成長基板
5. 二酸化ゲルマニウム
6. 四塩化ゲルマニウム

この品目の輸出については、商務部は関連部門とともに国務院に報告し、承認を得る必要がある。

輸出業者が許可なく輸出したり、許可の範囲を超えて輸出したり、その他の違反行為をした場合、商務省、税関等の部門は関連法令に基づき行政罰を課す。 犯罪を構成する場合は刑事責任を問われる。

2023年8月1日に発効する。

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ガリウムは、主にアルミニウム製錬の副産物として生産され、日本では量的には少ないが亜鉛製錬の副産物としてガリウムを生産しており、高純度(純度 99.999%;5N)に精製され、ガリウム砒素に代表される化合物半導体材料として高周波デバイスや LED 等の光デバイスなどに用いられ、衛星放送や移動体通信用のキーデバイスとして、オプトエレクトロニクス分野の製品に需要が拡大している。

2017年の世界ガリウム地金の生産量は低純度地金で315トンで、主要産出国は中国、ロシア、日本などである。

うち、ガリウム地金(4N レベル)生産 195 純分トン (中国 180t、ロシア・カザフスタン 7t、日本 3t、その他 5t)

日本の使用量  165トン(亜鉛副産物 3t、輸入地金精錬 94t、再生地金 68t)

輸入地金のうち、中国が65t、残りは10カ国以下から少量ずつ輸入

 

     https://mric.jogmec.go.jp/wp-content/uploads/2019/03/material_flow2018_Ga.pdf


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ゲルマニウムは、主に亜鉛鉱物処理の副産物として得られる。PET ボトル製造時の触媒、光ファイバー用添加剤、ダイオード、赤外線感知機器、太陽電池用の単結晶などに幅広く利用されている。

2017年の生産は下記の通り。

中国 88t、ロシア 6t、その他 40t、合計134t   

中国の輸出は21.1トンで、米国向けが19%、日本向けが12%となっている。

https://mric.jogmec.go.jp/wp-content/uploads/2019/03/material_flow2018_Ge.pdf

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