岸田文雄首相は7月16日、中東3カ国歴訪の最初の訪問国、サウジアラビアの西部ジッダに政府専用機で到着、サウジのムハンマド皇太子と会談し、先端分野や医療・ヘルスケアなどの分野での協力を一層拡大させていくと同時に、中東地域を次世代燃料や鉱物資源供給のグローバルなハブにしていくためにサウジアラビアと協力していきたい考えを表明。重要鉱物の探査や精製、太陽光発電の整備、水素・アンモニアの製造・利用、e-fuelの活用といった分野での連携を多面的に進めることで賛同を得た。
両国は、クリーンエネルギー協力のための日本-サウジアラビア王国間のライトハウス・イニシアティブを設立することを決定した。水素とアンモニア、e-fuel(合成燃料)、循環型炭素経済/カーボンリサイクル、直接空気回収(DAC)、エネルギー部門とサプライチェーンの強靱化に必要な重要鉱物、持続可能な先端材料、研究と知見の交換などの分野に焦点を当て、クリーンエネルギーへの移行を導くライトハウス・プロジェクトを開発する。
その後の会見で、サウジアラビアと水素やアンモニアといった新エネルギーの分野で連携を強める方針を示した。「産油国と消費国という関係から脱皮し、脱炭素の時代での新たなグローバルパートナーシップへと進化させる」と表明した。
日本とサウジアラビアが脱炭素を実現するためアンモニアの共同生産に向けた官民の枠組みをつくる。
なお、岸田首相はこれに先立ち、ペルシャ湾岸6カ国が加盟する「湾岸協力理事会(GCC)」の事務総長と会談し、2009年以降、中断していた自由貿易協定(FTA)の交渉を2024年中に再開することに向けて事前協議を始めることで合意した。
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Aramco はエネルギー源としての水素の利用の先駆者であるとうたっている。
2019年にAramco と Air Products はDhahran Techno Valley Science ParkにあるAir Productsの新しいテクノロジーセンターにサウジアラビア初の水素燃料ステーションを開設した。
このパイロット ステーションでは、6 台のトヨタ のMirai 燃料電池電気自動車に高純度圧縮水素を燃料として供給する。
Aramco はblue ammonia の使用の先駆者でもあり、これは、信頼性が高く、手頃な価格で持続可能な方法で、世界の増大するエネルギー需要を満たすことに貢献できる。
化石燃料由来のアンモニアをグレーアンモニアと呼ぶ。
グリーンアンモニアは再生可能エネルギーでつくった水素で生産するもの。
ブルーアンモニアは、化石燃料由来であるが、CO₂のオフセットされているカーボンニュートラルな燃料
2020年9月、Aramcoと日本エネルギー経済研究所はSABICと提携し、日本の経済産業省の支援を受けて、サウジアラビアから日本への blue ammoniaの生産と輸送の実証に成功した。 40トンの高品位 blue ammoniaが日本に送られた。
回収されたCO2 30トンはSABICのIbn-Sina工場でメタノール製造用の原料として用いられ、別の20トンはAramcoのウスマニア油田で石油増進回収(EOR)のため利用された。
2022年4月には、Aramco とSABIC Agri-Nutrientsが、ドイツに本部を置く独立の試験・検査・認証機関TÜV Rheinlandから、世界で初めてブルー水素とアンモニア製造の第三者認証を取得し、同年11月に韓国へ向けて第三者認証取得済みブルーアンモニアの世界初となる商業輸送を行った。
Aramco と産業ガス大手Linde Engineeringは2023年3月15日、アンモニアの新たなクラッキング技術を共同開発するための契約を締結した。Aramco と同国のKing Abdullah University of Science and Technology(KAUST)が共同開発したアンモニア分解触媒を使用し、その他の触媒との比較評価を行う予定。両社は、アンモニアから水素を取り出すためのクラッキング技術を紹介する実証プラントをドイツ北部に建設する。リンデはこのクラッキング技術を顧客に提供し、低炭素エネルギーサプライチェーンにおける新たなビジネス創出を狙う。
2023年4月には、2020年の実証実験に基づき、SABIC Agri-NutrientsがAramcoの原料ガスから製造した第三者認証取得済みの低炭素アンモニア(ブルーアンモニア)が、サウジアラビアから日本に初めて輸送された。
AramcoとSABIC Agri-Nutrients、富士石油、商船三井によると、今回輸送された低炭素アンモニアは発電用燃料を目的としており、Aramcoから富士石油に販売され、同社の袖ヶ浦製油所で発電の混燃用として利用される。また、サウジアラビアから日本までの輸送は商船三井が手掛け、富士石油の子会社の日本オイルエンジニアリングが技術支援を行っている。
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日本とサウジアラビアが脱炭素を実現するためのアンモニアの共同生産に向けた官民の枠組みは次の通り。
2022年6月のAramco sustainability report によると、Saudi Aramco は2030年までにプラント新設で年間最大1100万トンのブルーアンモニア生産目標を掲げる。建設には数兆円を要する見込みだが、開発中の技術を使用するため、リスクもある。これに日本の官民が協力する。
日本エネルギー経済研究所は製造・運搬コストを分析、製品の適正価格や需要についても助言する。
三菱商事と三井物産が将来の出資可能性を視野に評価に加わる。
JOGMECは事業への債務保証の機能を提供する。
日本政府は日本側の取り組みへの財政支援を検討する。
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