日産自動車、ルノーと対等出資で最終契約

| コメント(0)

日産自動車とルノーグループは7月26日、2023年2月6日に締結・公表された拘束力のある枠組み合意を踏まえた最終契約の締結を完了した。

日産とルノーは2月に、ルノーが保有する日産の株式を43.4%から日産側と同じ15%に引き下げ、対等に見直すことで合意している。最終契約締結を受け、ルノーは年内をめどに、保有する日産の株式のうち28.4%分をフランスの信託会社に移し、両社の資本関係は対等となる。

両社の抜本的な資本関係の見直しは、経営危機に陥った日産にルノーが約6000億円を出資した1999年以来となる。

1.両社の出資関係

2023年2月6日に発表された通り、ルノーグループと日産は15%の株式を相互に保有することになる。

ルノーグループは現在所有する日産の株式のうち、今後も所有する15%以外の28.4%をフランスの信託会社に信託する。
ルノーグループは当該株式が売却されるまでの間、信託した日産の株式の全てに付随する経済面での権利(配当金と株式売却収入)を有する。

日産の株式28.4%が信託会社に信託されることに伴い、日産が保有するルノーグループの株式に付随する議決権が行使可能となる。ルノーグループおよび日産双方の議決権行使の上限は、行使可能な議決権の15%と定め、両社はこの範囲内で自由に議決権の行使が可能となる。

ルノーは現在、日産株の約43.4%を保有して議決権を持っているため、日産が保有する15%のルノー株には議決権がない。(フランス会社法では、40%以上の出資を受ける企業は出資元の議決権を持てない)

2018/11/22 日産自動車とルノーの資本関係 

ルノーグループは、同社にとって商慣習上合理的な場合、信託会社に信託した日産株式の売却を指示するが、特定の期間内に売却する義務は負わない。ルノーグループは日産と協調的で秩序あるプロセスにおいて自由に信託内の日産株式を売却できるが、日産は筆頭の売却候補として優先的な地位を有する。

2. 三菱自動車を含めた3社の協力

1) インド、ラテンアメリカ及び欧州において、事業面で高い価値を創造するプロジェクト

各社は新たにラテンアメリカ、インドおよび欧州においてウィン・ウィンで大規模かつ実行可能な主要なプロジェクトについて検討していく。その一つとして、ルノーグループと日産はインド事業への新規投資や新型車の投入を含む新たなコミットメントを発表した。

2) 各社の新しい取り組みにパートナーが参加可能となる、戦略的な機敏性の向上

電動化や低排出技術に関する既存の戦略に沿って、事業に付加価値が期待できるパートナー各社のプロジェクトに投資・協業することで合意した。

その一環として、日産はルノーグループが欧州に設立するEV&ソフトウエア新会社アンペアの戦略的投資家になることを決定した。

具体的には、アンペアの戦略的な投資家として同社へ取締役を派遣する為、最大6億ユーロの出資を決定した。

この投資は日産の電動化戦略に沿ったものであり、日産が欧州市場、そして潜在的には他市場において定めている目標や取り組みを補完すべく、様々なベネフィットやシナジーが生まれると期待される。


ルノーは2022年11月、進行中の5カ年計画「Renaulution」のフェーズ1「復興(Resurrection)」、フェーズ2「刷新(Renovation)」を終了し、フェーズ3「革命(Revolution)」の段階に入ると発表した。

ルノーは以下の5つの事業分野に焦点を合わせた次世代の自動車会社を目指す。このうちスポーツカーのアルピーヌ(Alpine)はルノーグループの子会社であり、他の4分野は新会社を設立する。

アンペア(Ampere) 世界初のEV & ソフトウェア会社、2030年までに6車種のEVを投入
クアルコム、グーグルと提携しSDV(Software-defined vehicle)を開発
日産は最大6億ドルの出資を決定、取締役を派遣
Horse Project パワートレイン新会社 低排出ガス内燃機関(ICE)とハイブリッド技術を開発
アルピーヌ(Alpine) 本格的な高級スポーツカーブランドを目指す
モビライズ(Mobilize) ファイナンスを中心に、新たなモビリティ、エネルギー分野に参入
The Future Is NEUTRAL 自動車産業における循環型経済実現を目指す


米GoogleとRenault Groupは2022年11月8日、「Software Defined Vehicle」(SDV、ソフトウェア定義型自動車)のデジタルアーキテクチャの設計と提供を目的としたパートナーシップの拡大を発表した。

ルノーグループと米クアルコムは2022年11月、両社の戦略的提携を拡大することで合意した。 クアルコムグループは、ルノーが新たに設立する「Ampere(アンペア)」へ出資するほか、ソフトウェア定義型電気自動車向けのアーキテクチャの共同開発を目指す。

ルノーと中国自動車大手の浙江吉利控股集団は本年7月11日、ハイブリッド(HV)パワートレインエンジンを製造・供給する50/50 合弁会社 Horse Project を立ち上げる契約に調印した。投資額は最大70億ユーロ(約77億1000万ドル)。

Saudi Aramcoは2023年3月2日、ルノーグループと中国の浙江吉利控股集団(吉利グループ)が設立する新会社の少数株主になる基本合意書に署名したと発表した。アラムコは合弁会社に戦略的投資を行うかどうか検討中だという。

コメントする

月別 アーカイブ