SBIホールディングスは7月5日、台湾の半導体ファウンドリ大手の力晶積成電子製造(Powerchip Semiconductor Manufacturing Corp.) と日本国内での半導体工場設立に向けた準備会社を設立することについて基本合意したと発表した。
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日本政府は2021年6月に半導体・デジタル産業戦略を策定し、日本国内における半導体産業を抜本的に育成していくことの必要性を表明した。
「半導体戦略」(経済産業省 2021年6月)
https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210604008/20210603008-4.pdf日本の半導体産業は、1990年代以降、徐々にその地位を低下
国内の半導体製造基盤の確保・強化に向けて
・半導体は、デジタル社会を支える重要基盤・安全保障に直結する戦略技術として死活的に重要。
・ 具体的には、先端半導体を国内で開発・製造できるよう、海外の先端ファウンドリの誘致を通じた日本企業との共同開発・生産や、メモリ・センサー・パワー等を含めた半導体の供給力を高めるための我が国半導体工場の刷新等について、他国に匹敵する大胆な支援措置が必要。国内対策① 先端半導体製造技術の共同開発とファウンドリの国内立地
国内対策② デジタル投資の加速と先端ロジック半導体の設計強化
国内対策③ 半導体技術のグリーンイノベーション促進
国内対策④ 国内半導体産業のポートフォリオとレジリエンス強靭化
詳細 2021/10/18 半導体大手、台湾のTSMCが日本で工場建設
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日本の半導体工場
最近の動き台湾積体電路製造(TSMC)熊本県菊陽町
2021/10/18 半導体大手、台湾のTSMCが日本で工場建設
Rapidus㈱ 北海道千歳市
2022/11/14 次世代半導体の設計・製造基盤確立に向けた取組、先端半導体の国産化へ新会社
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今後、日本が半導体のグローバルサプライチェーンの起点となっていくことは中東、アジア及び欧米諸国からも求められてくる。
このような中で、SBIグループは台湾の半導体ファウンドリ大手であるPSMCと日本での半導体工場の設立に向けた準備会社を共同設立することについて基本合意したもの。
PSMCは台湾3位、世界6位の半導体ファウンドリ大手で、メモリとロジックの両方を生産できる世界的にも稀有な企業である。
事業概要 スペシャリティーロジック、ニッチ市場向けメモリ、ディスクリートの半導体ファウンドリ事業 設立 1998年 拠点
12-inch Fabs 本社&Fab P1/2 新竹市 Fab P3 & Wafer test Fab P5 苗栗県
8-inch Fabs Fab 8A 新竹市 Fab 8B 苗栗県 扱い品
Discrete Process
(単一目的)Widely used in various products such as mobile phone / Tablet battery protection, PC / NB motherboard, machine tools, USB, signal switch, motor drive and LED lighting. Power Management Process Widely used in various types of Power IC, such as LDO, Buck, Boost converter, charger pump, LED lighting / Driver, AD / DC, HV motor driver ... CIS 110nm CIS process technology is under production for high resolution CIS chips for clients. PSMC also developed the CIS color filter and micro lens process in order to provide clients a more completed CIS chip foundry service at same fab. Embedded NVM Consumer, industrial, smartcard and automotive electronics High Voltage Process Mobile phones, tablet, notebook, automotive panel, TV, electronic paper and other display driver ICs. Logic DRAM 揮発性メモリ NAND & NOR 不揮発性メモリ(フラッシュメモリ)
多くの半導体企業は最先端または先端技術に特化した投資をしているが、PSMCは車載向け半導体需要の90%以上を占めるとされている28nm以上の半導体を高品質で安価・大量に生産するビジネスモデルを有している。
今後、SBIグループとPSMCは準備会社を早期に設立し、同準備会社にて、工場立地場所の選定、事業計画の策定、資金調達の計画等を実施する。
日本で設立する工場は、まず40/55nmのプロセスルールで車載・産業機器用ICチップに注力し、中期的にはWoW(Wafer-on-Wafer)となる3次元積層ウェハおよび、28nmの以下のプロセスノードへの移行を目指す。さらに長期的には、先端半導体技術を開発するための研究所も国内に設立するという。
資金調達についてはSBI の主力行である三井住友銀行やみずほ銀行と相談するほか、グローバルに資金を調達する計画もあるとした。
SBIの北尾吉孝社長は会見で、半導体生産について「輸出市場として日本で作る意味がある。グローバルサプライチェーンの起点にする」と述べた。「金融機能で日本の半導体産業の復興に貢献したい」とも話し、これまでネットワークを構築してきた地域金融機関が地元で融資できる体制を作っていく考えを示した。
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