米国初の洋上LNG生産計画 始動へ

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商船三井が出資する米エネルギー会社 Delfin Midstream, Incが事業費約52億ドルの洋上LNG生産プラント2基について年内にも事業化を目指す方針を明らかにした。2027年にも生産を開始する。陸上型に比べて環境への負担が軽く、低コストな海上型でLNGの生産を増やす。

商船三井は6月9日、米国のシェールガスを原料とした浮体式LNG生産設備(Floating LNG)の開発を行う Delfin Midstream, Incへの出資を決定し、同社と戦略的出資契約を締結した。これまでに培ってきたLNG船の建造や運航ノウハウを活かして、Delfin Midstreamのプロジェクト推進を支援するとしている。まずは最初のFLNGの最終投資判断(FID)に向けて共同で取り組む。

Delfinでは、「Delfinには長年、LNG輸送船を 浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU:Floating Storage and Regasification Unit)や浮体式LNG生産設備(FLNG:Floating LNG)へ改造してきた実績がある。それらのスキルを商船三井のノウハウと組み合わせることで、Delfinは北米からのクリーンで低コストなLNG輸出を促進することができる」と述べている。

洋上プラントの場合、アジアの造船所で建造し、現場まで曳航すれば建設コストを10~15%削減できるという。



ルイジアナ州 Grand Chenier 付近に天然ガスパイプラインのStation44 とGrand Chenier Station があり、そこから沖合にUTOS PipelineとGrand Chenier Pipelineがつくられている。

Delfin Midstreamの100%子会社のDelfin LNG LLCは、2014年にUTOS pipelineを購入した。その先の HIOS pipelineの長期access契約を結んでいる。

更にDelfin Midstreamの子会社Avocet LNGは Grand Chenier pipelineを所有している。

Delfin LNG はDepartment of Energy から米国とFTAを締結していない国々への年間1330万トンのLNGの長期契約での輸出の承認を得ている。

Delfin LNGはまずHIOS pipelineに2基の洋上LNG生産プラントを建設する。1基当たり能力は350万トン。

2022年から各社とLNG供給契約を結んでおり、1基分はほとんど確保した。

2022/7 Vitol Inc. 年間 50万トン
2022/8 Centrica plc    100万トン
2022/9 Devon Energy    100万トン
2023/4 Hartree Partners Power & Gas (UK)    60万トン

既に約4基分1330万トンの輸出承認を得ており、3-4基目も計画している。

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Delfin Midstreamは他にカナダ西岸のCedar LNG計画に参加している。(FEED phase段階)

Cedar LNG は カナダ西岸のBritish Columbia 州 Kitimat の先住民族 Haisla Nation の領土内に浮体式 LNG 施設(液化能力 年間 300 万トン)を建造、設置する計画である。天然ガスは Montney から調達することとなっており、Coastal GasLink パイプラインと送ガスに関し長期契約を締結済みである。また、Coastal GasLink パイプラインから Kitimat までは約 8km の新規パイプラインを敷設する。2027 年の稼働開始を予定している。

先住民族 Haisla Nation と Pembina Pipeline は 2021 年6 月8 日、Pembina が Haisla Nation のパートナーとなり、Cedar LNG プロジェクトの開発を共に行うというパートナーシップ契約を締結した。Pembina はそれまでPTE Cedar LP と Delfin Midstream Inc.が保有していたCedarLNG の持分を取得し、その結果、Haisla Nation と Pembina の所有権はそれぞれ 50%となった。

Delfin Midstreamはその後もテクニカルアドバイザーとして引き続き関与している。

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完成予想図

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