福島原発「処理水」についての中国政府の主張 

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人民網日本語版によると、中国の呉駐日大使は8月28日、岡野外務事務次官と会談し、日本側に対して、福島原発汚染水の海洋放出問題についての厳正な立場をさらに明らかにした。

日本側の申し入れに対して以下の通り述べた。

日本は国内外の強い疑問と反対の声を顧みず、頑なに福島原発汚染水の海洋放出を開始して、全世界の海洋環境と全人類の健康及び安全に多大なリスクと予測不可能な危害をもたらし、中国を含む国際社会の憤りを招いた。これが現在の事態の根本的原因だ。

日本は以下の質問に真剣に答えるべきだ。

第1に、なぜ日本はトリチウムを希釈処理したことを意図的に強調しながら、他の放射性核種については常に言葉を濁すのか?

第2に、なぜ日本は全面的かつ体系的な海洋環境モニタリングを行わないのか?
日本の現行のモニタリング計画は体系的でも全面的でもなく、放出した全ての核種をモニタリングしているわけではなく、またモニタリングの対象となる海洋生物の種類も少なく、海洋生態系への長期的影響評価のニーズを満たしていない。

第3に、なぜ日本は国際的なモニタリング・メカニズムの構築に他の利害関係者が参加することを拒否するのか?
もし日本が安全性に十分な自信を持っているのであれば、他国が独自に実施する第三者モニタリングを含め、各利害関係者が十分かつ効果的に参加する長期的モニタリングのための国際的な取り決めの確立を積極的に支持するはずだ。


前回(8/28)のブログのとおり、放射性物質を含む廃水の海洋放出を問題視しているようだ。トリチウム以外の放射線核種についてのモニタリングが十分でなく、かつモニタリングに第三者を入れないことへの不満を表明している。



環境省では、ALPS処理水に係る海域モニタリングを実施している。ALPS処理水の放出開始後、8月25日朝に採取した海水試料を分析した結果、トリチウムの濃度は11か所全てで検出下限値未満(7~8Bq/L未満)であり、人や環境への影響がないことを確認した。γ線核種についても念のため測定を行ったが、全て検出下限値未満であった。

なお、海洋生物については東京電力が福島県沖の近海に生息しているヒラメ、アワビ、海藻を飼育対象として選定しているが、トリチウム濃度を測定しているだけである。 

魚類 ヒラメ(幼魚)800尾程度
貝類 アワビ(稚貝)800個程度
海藻 アオサ、ホンダワラ 数kg程度

今回の放出開始後の結果は出ていないが、これまでの測定では、ヒラメ体内において、トリチウムが蓄積・濃縮されないと考えているとしている。

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