韓国電池大手のSK Onは8月17日、米Ford、韓国のカソード(正極材)メーカーのEcoProBMと合弁でカナダにEV向けの電池材料工場を建設すると発表した。投資金額は12億カナダドル(約1300億円)。
カナダのケベック州で27万平方メートルの敷地にリチウムイオン電池部材の正極材工場を建設する。2026年前半稼働で、量産時には年産4万5000トン(EV22万5000台に相当)を生産する。
新会社の名称はEcoPro CAM Canada LPで、EcoProBMのcore shell gradient (CSG) technologyを使い、NCM(ニッケル・コバルト・マンガン)正極材を生産する。
EcoPro CAM Canada LPはEcoProBMが本年2月に設立した。これにFordとSK on が出資する。日常業務はEcoProBMが担当する。EcoProにとってはハンガリーに続く海外進出となる。
EcoProBMは韓国で主に二次電池材料を生産するEcopro Co Ltd から正極材に特化した部門として分社化された。
2021年12月にEcoProBMがハンガリー東部のデブレツェン市にEV搭載用リチウムイオンバッテリーの正極材工場を建設することが発表された。同社にとって国外初の製造拠点となる。投資額が7億2,800万ユーロで、EV約135万台分に相当する年間10万8,000トンの正極材を生産する。
2022年10月、サムスンの電池部門のサムスンSDIとEcoPro BMの合弁会社は、韓国南東部の港町ポハンに生産能力で世界最大となるカソード材工場を完成させた。
新工場の建設プロジェクトにはカナダ連邦政府とケベック州政府が6億4400万カナダドルを財政支援して電池産業の誘致につなげる。
SK On は現在、EcoProBMの韓国の既存工場から正極材を調達して車載電池を生産しているが、Fordと組んで現地化を進める。
「この工場により、3社は素材(カソード)-部品(バッテリー)-最終製品(EV)のバリューチェーンを強化するとともに、核となるバッテリー素材の安定供給と価格競争力を確保することができる。北米での主要なバッテリー素材の安定供給を確保する取り組みの一環です」としている。
SK On は2022年7月に Ford とのEV用バッテリーのJV Blue Oval SK を発足させた。
テネシー州Stantonに1工場、ケンタッキー州Glendale に2工場を持つ。
電池工場の年間能力はテネシー工場が43GWh、ケンタッキー工場が86GWhで、合計129GWhとなる。フル稼働時にEV約220万台のバッテリーを供給できる。
2022/7/16 SKとFordのバッテリーJV 発足
SK Onはこのほか、北米に自社で2工場(合計21.5GWh)と現代自動車とのJV(35GWh )を持ち、北米での年間能力は180GWhを超える。(EVで約170万台)
2023/5/31 現代自動車、SK On とのJV 及び LG Energy SolutionとのJVで米国にバッテリー工場建設
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