キューバの首都ハバナで行われた新興・途上国で構成する国連の枠組み「77カ国グループ(G77)プラス中国」の首脳会合は9月16日、先進国主導の国際秩序がもたらす不公平に「Global South」と呼ばれる国々が「深い懸念」を表明し、是正を求める声明を採択して閉幕した。G77は1964年に発足し、134の国と地域で構成する。
政治宣言では「現在の不公正な国際秩序によって途上国が直面する課題はより深刻になっている」として強い懸念を表明し、食料やエネルギーの危機、市場の不安定性などにより途上国は大きな影響を受けやすく極度の貧困や難民の発生を招くと指摘、国際機構における途上国の代表の割合を増やすことも求めた。
一方、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻については「地政学的な緊張」という表現にとどめている。
宣言ではこのほか、新型コロナウイルス流行時に途上国へのワクチン普及が遅れるなど不公平が一層悪化したとし、科学技術の分野で途上国が取り残されないよう国際協調の必要性を訴えた。
なお、G77設立時に参加し、1994年に離脱したメキシコが再加盟を要望、首脳会合は満場一致で再加盟を認めた。正式に再加盟すると135カ国となる。
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The Member States of the Group of 77 https://www.g77.org/doc/members.html
設立時の77カ国のうち、韓国がOECD参加を機に1996年に離脱、メキシコも1994年に離脱し、75カ国が残っている。
なおNew Zealandは設立前の宣言(1963年10月)には署名したが、実際の設立時には参加しなかった。
ユーゴ、キプロス、マルタ、ルーマニアの欧州勢も一時は参加していたが、EU加盟などで離脱している。
中国は1994年以来、G77の主導的な「支援国」と称しており、公式にはGroup 77 and China(G77プラス中国)という言葉が使われている。Group 77の参加国リストには中国が入っており、下図にも入っているが、中国自身は参加国とはみていない。
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