三井物産は9月22日、台湾の海龍(ハイロン)洋上風力発電事業につき、事業パートナーであるカナダの大手独立系発電事業者のNorthland Power Inc.と共に、プロジェクトファイナンスに係る契約発効を前提とした最終投資決断を 行ったと発表した。2023 年内の発効を予定している。
台湾は 2050 年までに温室効果ガス排出量のネットゼロを目指し、洋上風力発電設備 40~55GW の導入を目標としてい る。本事業はこの目標の達成に寄与すると共に、台湾の一般家庭 100 万世帯超の年間消費量に相当する電力を供給 する。
台湾彰化県沖 45~70km の洋上に大型風力タービン(14MW) 73 基を建設し、2025 年末以降に順次、運営・売電を行う もので、概要は次の通り。
なお、現時点では出資はNorthland Powerが60%、三井物産が40%となっているが、Northland Powerは2022年12月に事業の権益(60%)の49%をマレーシアのクリーンエネルギー企業のGentari International Renewable に売却した。
この結果、本年第4四半期には、出資はNorthland Power 30.6%、Gentari 29.4%、三井物産40%となる。
Gentari は2022年6月16日にマレーシアの総合石油ガス会社PETRONASがクリーンエネルギーソリューションの新会社として設立を発表した。2030年には風力発電やバッテリーストレージの機会を追加した3~4千万kWの太陽光発電容量の建設、年間最大120万トンの水素供給、アジア太平洋地域の主要市場で10%のEVエコシステムの市場シェア獲得など目指すとした。
なお、当初の計画はNorthland Power 60%、シンガポールのYushan Energy 40% であった。
2018年に三井物産がYushan Energy Taiwanの50%株主となり、本事業に20%出資することになった。
今回の最終計画では三井物産が40%出資となり、Yushan Energy は参加していない。この事情は明らかでない。
JV 発電所 発電容量 売電先 期間 Hai Long 2 HL2A 294MW (14MW x 21基) 台湾電力 20 年間 HL2B 224MW (14MW x 16基) 台湾民間電力需要家 30 年間 Hai Long 3 HL3 504MW (14MW x 36基) 合計 1,022MW (14MW x 73基)
総事業費約 9600億円の内、約 5,400 億円はプロジェクトファイナンスによる調達を予定しており、国際協力銀行及び日本貿易保険をはじめとする世界各国の輸出信用機関や金融機関が参画する予定。
三井物産による投融資保証額は約 2,600 億円(投融資:約 1,700 億円、保証:約 900 億円)を予定している。
提携先のNorthland Power Inc.はカナダを拠点とするグローバルな電力生産会社で、アジア、欧州、中南米、北米、その他で、4つの事業セグメント(陸上風力、オフショア風力、天然ガス、オンショア再生可能)を通じてクリーンでグリーンなグローバル電力インフラ資産の開発・構築・所有・運営に注力する。
同社は、2,429MW(正味2,014MW)の運転中発電設備、399MWの建設中発電設備を所有または関与しており、ドイツ北海のDeutsche Bucht 洋上風力発電プロジェクトおよびメキシコのLa Lucha太陽光発電プロジェクトの代表企業となっている。
日本では、秋田県潟上市と千葉県いすみ市で洋上風力発電開発プロジェクトを展開している。
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台湾の西海岸沖には各国の洋上風力計画が林立している。
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