トヨタ、LG Energy Solution と米国でバッテリーEV用電池の長期購入契約を締結

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Toyota Motor North America, Inc.とLG Energy Solutionは10月5日、米国で生産するトヨタのバッテリーEVに搭載するリチウムイオン電池の 購入契約を締結したと発表した。


この契約により、
LG Energy Solutionは同社のミシガン工場に約4兆ウォン(約30億ドル)を新規投資し、専用ラインを構築し、2025年から年間20ギガワット時(GWh)相当の「NCMA」(正極活物質にニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウムを使用)と呼ばれるリチウムイオン電池セルとモジュールをトヨタのケンタッキー州の工場に供給する。年間でEV 25万台以上分の供給量となる。

同電池は当面、Toyota Motor Manufacturing Kentucky(TMMK)で2025年より生産予定のBEVの新型車となる3列シートSUVに電池パックとして搭載される他、今後、北米で拡大が見込まれるBEVラインナップにも、搭載される予定。

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トヨタは2023年6月1日、米国でのバッテリーEV(BEV)生産と電池工場への追加投資で電動化への取り組みを強化すると発表した。

・Toyota Motor Manufacturing Kentucky, Inc.(TMMK)で2025年からバッテリーEVのSport Utility Vehicle(3列シートSUV)を生産開始する。
  
 トヨタが米国でBEVを生産するのは初めてで、この発表時には下記のToyota Battery Manufacturing, North Carolinaで生産する電池を搭載するとしていた。

・Toyota Battery Manufacturing, North Carolina

Toyota Motor North Americaは2021年11月、TMNA90%、豊田通商10%の出資で、Toyota Battery Manufacturing, North Carolina (TBMNC)を設立した。

車載用電池の製造会社で、2025年からの稼働を目指す。

  2021/11、ノースカロライナ州のGreensboro-Randolph Megasiteでの建設決定、投資額 12.9億ドル

  2022/8に25億ドルの追加投資発表

  2023/6に更に21億ドルを追加投資し、インフラ整備 (総投資額は59億ドル) 
  
  拡大する電動車の需要に必要なリチウムイオン電池を生産・供給
    2025年稼働予定、ハイブリッド車(HEV)、バッテリーEV(BEV)用電池を生産

 2023/6/5 トヨタ、米国でバッテリーEV生産、電池工場に追加投資


今回、
LG Energy SolutionはToyota Motor Manufacturing Kentucky(TMMK) で2025年より生産予定のBEVの新型車となる3列シートSUVの電池パック用に供給するとしており、Toyota Battery Manufacturing, North Carolinaとの関係について触れていない。

トヨタでは、2030年までにトヨタ・レクサスの両ブランドで30車種のバッテリーEVをグローバルに展開することを発表しており、今回の契約は、年間350万台のBEVを生産するトヨタの電動化への取り組みの推進にも貢献する としている。Toyota Motor Manufacturing Kentucky向けは実績のあるLG Energy Solutionのバッテリーでスタートすることに変更したと思われる。

LGESは「世界で最も売れている自動車メーカーであるトヨタを新たな顧客として迎えることができ、大変うれしく思う。リチウムイオン電池における30年の経験を生かし、弊社のNCMA電池を供給し、トヨタのBEV展開をサポートする。また、今回の合意は、弊社の北米における生産能力をさらに強化するための新たな大きな機会でもあり、それによって、北米における電動化に向けた現実的で大規模な進展をもたらすことになる」と している。

付記

LG化学は10月10日、トヨタの北米生産・技術担当法人と2兆8000億ウォン(約3000億円)規模の正極材供給契約を10月6日に結んだと発表した。

契約期間は2030年までで、年間に電気自動車60万~70万台に供給できる量と推定される。トヨタの電気自動車にLG化学の正極材が搭載されるのは今回が初めて。

LG化学は米国のインフレ抑制法の要件をクリアする正極材を作って供給し、今後トヨタと長期的な協力関係を構築していく方針。


LGESは北米で生産する車載電池を、GM、Stellantis、現代自動車、ホンダに供給しており、トヨタとの提携で供給先が大手5社となった。



LG単独ではミシガン州Hollandに5GWhの工場を持ち、GM、Ford Motor、Chrysler などに供給している。ミシガン工場はオバマ米大統領が2010年7月の起工式に参列するなど注目されたが、 当初はいろいろな問題が発生した。

2013/9/10 LG化学のミシガン州のリチウムイオン電池工場、生産開始2か月で停止 

LG Energy Solutionは2021年3月12日、2025年までの5年間で米国に45億ドル以上を投資すると発表した。少なくとも2工場を建設、米国での電気自動車の成長に対応し、能力を70GWh増やす。

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LGはGMとのJVのUltium Cells LLCで、オハイオ州 Lordstown の近辺に23億ドルを投資して生産能力30GWhの次世代グローバルEVバッテリーシステムの生産工場の建設中。

2020/1/3 GMとLG Chem、世界最大級のEV用電池工場建設計画を発表

GMとLGは2021年4月16日、第二工場のテネシー州Spring Hillでの建設を発表した。能力は35GWh。

GMは2022年1月25日、EVの生産能力の強化に向けて、米国で3つ目となる新たな電池工場の建設を発表した。LG Energy Solution との50/50 JVのUltium Cells LLCが26億ドルを投じ、ミシガン州 Lansing に第3工場を建設する。

2022/1/28 GM、米国で3つ目の電池工場を建設、電気自動車生産投資も

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Stellantis N.V.Fiat Chrysler Automobiles とPeugeot の統合会社)は2021年10月18日、LG Energy Solutionと合弁会社を設立し、北米で電動車用の電池を生産すると発表した。

StellantisとLG Energy Solutionは2022年3月23日、本契約を締結した。立地はカナダのオンタリオ州 Windsor (デトロイト市に隣接)で、能力は45 GWh。

同社はSamsung SDIとの間でもIndiana州にJVを設立した。

2022/5/27 Stellantis、米国での2つのEV向け電池合弁会社の内容が確定

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本田技研工業と韓国のLG Energy Solution は8月29日、北米で生産販売されるHondaおよびAcura(プレミアム・ブランド)のEV用リチウムイオンバッテリーを米国で生産する合弁会社の設立に合意した と発表した。

2022/9/2 ホンダとLG Energy Solution、米国にEV用バッテリー生産合弁会社設立に合意 

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Hyundai Motor Group とLG Energy Solutionは2023年5月26日、米国に5兆7000億ウォン(約43億ドル)を投じて自動車用バッテリーのJV工場を建設すると発表した。同日、ソウルのLG Energy Solution本社で契約を締結した。

現代自動車は2022年5月21日、米ジョージア州に電気自動車(EV)の専用工場と電池工場を新設すると発表したが、「バッテリーセル工場は合弁形態で設立するだろう。合弁対象は確定しておらず検討中」と説明した。SK On、LG Energy Solution、Samsung SDIの韓国企業3社のうち1社が有力とされた。

現代自動車は最終的にLG Energy Solutionを選んだ

現代自動車のEV新工場(Hyundai Motor Group Metaplant America )が建設される米ジョージア州ブライアン郡に建設する。JVは折半出資で、総投資額は5兆7000億ウォン(約43億ドル)。年間約30ギガワット時(GWh)のバッテリーセル(EV 約30万台) を生産する。

両工場を完成すれば、米国内にも合計約60万台以上のEVのバッテリー生産能力を備えることになる。

2023/5/31 現代自動車、SK On とのJV 及び LG Energy SolutionとのJVで米国にバッテリー工場建設

 

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