ENEOSは10月16日、有田市の和歌山製油所の操業を停止した。
今後、跡地を活用して、持続可能な航空燃料「SAF」の製造など、再生可能エネルギーの供給を目指す。
石油元売り最大手のENEOSの和歌山製油所は、1941年に有田市で操業を開始し、ガソリンなどの燃料を中心に生産してきた。
<和歌山製油所の概要>
所在地 : 和歌山県有田市
操業開始 : 1941年(昭和16年)
原油処理能力 : 127,500バレル/日
同社は2022年1月、和歌山製油所の精製・製造および物流機能について、2023年10月を目途に停止することを決定したと発表した。
国内石油製品の構造的な需要減退やアジアを中心とした国際競争の激化に加え、今般の新型コ ロナウイルスによる急激な需要減少等、石油精製販売事業を取り巻く様々な環境を総合的に勘案 した結果、製油所・製造所の生産・供給体制の再構築が急務と判断し、停止を決めた。
2022/1/28 ENEOS、和歌山製油所を2023年10月に停止
跡地については、脱炭素化を進める「GX=グリーントランスフォーメーション」のモデル地区とするビジョンを掲げていて、持続可能な航空燃料「SAF」の製造など、再生可能エネルギーの供給を目指すとしている。
SAF(サフ)とは「Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料」である。主に植物などのバイオマス由来原料や、飲食店や生活の中で排出される廃棄物・廃食油などを原料とする。
ENEOSは2022年11月、持続可能な航空燃料(SAF)について、生産拠点を当初検討した根岸製油所(横浜市)から和歌山製油所(有田市)に変更すると発表した。生産開始年も1年遅らせて2026年とする。
同社は仏トタルエナジーズと事業化調査を進めている。本検討対象の設備では、主に廃食油、獣脂といった廃棄物や余剰物を原料とし、将来的に年間約30万トン(40万KL)のSAF製造を想定している。両社はSAF製造の合弁会社を設立する予定。
ENEOSは三菱商事とも、2027年をめどに原料調達を含むSAFの供給網をつくる検討をしている。
日本政府は、2030年までに国内航空会社の航空燃料需要の1割をSAFにする方針を掲げているが、商用化に成功したのはフィンランドのネステなど一部の企業にとどまっており、日本勢は出遅れている。
参考 ENEOSの体制の推移:
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