全固体電池の材料開発等で世界をリードする両社が連携することで、2027~28年の全固体電池実用化をより確実なものとし、その後の本格量産を目指す。
今回の協業は、BEV向けに高容量・高出力を発揮しやすいとされている硫化物系の固体電解質が対象で、この硫化物固体電解質は、柔らかく他の材料と密着しやすいため、電池の量産がしやすいという特徴がある。
出光はこれまで、石油精製の過程で得られる副産物を活用して、固体電解質の中間材料である硫化リチウムの製造技術を培い、安定供給体制の構築を目指した量産技術の開発に取り組んできた。
石油化学事業で培った高純度の硫化リチウム製造法を確立しており、さらに硫化リチウムを原料とする硫化物系固体電解質について数多くの特許を保有している。
全固体リチウムイオン二次電池の普及・拡大へ向け、固体電解質の小型実証設備第1プラント(稼働開始:2021年11月)の生産能力を増強すると発表した。加えて7月より小型実証設備第2プラントの稼働も開始し、全固体電池の開発を進める自動車・電池メーカーなどへ、当社の固体電解質を着実に供給するとしてい た。
なお、同社は産業構造審議会 グリーンイノベーション部会の産業構造転換分野WG説明資料で、
「全固体電池の広がり」(将来像)として、 1. 高容量化 2. 金属資源リスクの低減 3. リサイクル効率向上 を挙げている。 |
トヨタと出光は、本格量産に向けて数十名規模のタスクフォースを立ち上げ、以下の通り協業を進める。
第1フェーズ 「硫化物固体電解質の開発と量産化に向けた量産実証(パイロット)装置の準備」
- 出光とトヨタは、双方の技術領域へのフィードバックと開発支援を通じ、品質・コスト・納期の観点で、硫化物固体電解質を作り込み、出光の量産実証(パイロット)装置を用いた量産実証に繋げる。
第2フェーズ 「量産実証装置を用いた量産化」
- 出光による量産実証(パイロット)装置の製作・着工・立ち上げを通じた、硫化物固体電解質の製造と量産化を推進
- トヨタによる、当該硫化物固体電解質を用いた全固体電池とそれを搭載した電動車の開発を推進し、全固体電池搭載車の2027-2028年市場導入を、より確実なものにする。
第3フェーズ 「将来の本格量産の検討」
- 第2フェーズの実績をもとに、将来の本格量産と事業化に向けた検討を両社で実施
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電池がより小型で高性能になることで、動力性能が求められるスポーツカーから、急速充電の頻度が高い商用車まで、バッテリーEVで多様なニーズに応える。
最も大きな課題は耐久性で、充放電を繰り返すと、正極・負極と固体電解質の間に亀裂が発生し、電池性能が劣化してしまうことが長年の技術課題であった。
2013年以降、この課題解決に出光とともに取り組んできた。
そのひとつが、柔軟性と密着性が高く、割れにくい固体電解質の技術である。両社の材料技術を融合させることで、割れにくく、高い性能を発揮する材料を開発することができた。この新しい固体電解質に、トヨタグループの正極・負極材、電池化技術を組み合わせることで、全固体電池の性能と耐久性を両立できるメドがついた。
今後、「量産化」に取り組む。実用化のターゲットは2027年から2028年。
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