ジャパンディスプレイ(JDI)は9月29日、世界3位のディスプレーメーカー、中国HKC(惠科股份有限公司)との間で進めていた次世代有機ELパネルに関する提携交渉を打ち切ったと発表した。JDI技術をライセンスし、惠科が工場を建設する計画だったが、 技術料の支払い条件などが折り合わなかった。
中国市場ではデジタル製品の消費回復が遅れて液晶パネルの価格が低迷。工場の建設には数千億円規模が必要となり、HKCも調達が難しくなっていた。
代替案として、JDIは中国安徽省の蕪湖経済技術開発区に次世代有機ELパネルの工場を立ち上げる方針で、同開発区と覚書を結ぶことも発表した。年内の最終契約締結を目指す。2025年11月から順次量産を開始する予定で、生産能力は50倍以上に拡大するとしている。
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JDIは2022年5月に、世界で初めてマスクレス蒸着とフォトリソを組み合わせた方式で画素を形成し、輝度・寿命を大幅に高める次世代OLED「eLEAP」の量産技術を確立した。
また2022年3月には、世界で初めて第6世代量産ラインにおいて、従来の酸化物半導体薄膜トランジスタと比較して電界効果移動度が 2~4 倍以上となるバックプレーン技術「HMO」の開発に成功しており、早期の量産化を目指している。
そのほかを加え、6つの「世界初、世界一」独自技術を持つ。
eLEAP (次世代OLED) |
environment positive(環境ポジティブ) Lithography with maskless deposition(マスクレス蒸着+フォトリソ方式) Extreme long life, low power, and high luminance(超長寿命・省電力・高輝度) Any shape Patterning(フリーシェイプ・パターニング) 広発光領域でピーク輝度2倍または寿命3倍、フリーシェイプで明るく鮮明な画像を実現 |
HMO (High Mobility Oxide) |
電界効果移動度が、従来の OS-TFT 技術と比較して 2倍以上となる高移動度酸化物半導体(HMO、High Mobility Oxide)技術 及び 4倍以上となる超高移動度酸化物半導体(UHMO、Ultra High Mobility Oxide)技術 |
メタバース (超高精細ディスプレイ) |
圧倒的なリアリティと没入感 高い歩留りと安定した品質 |
AutoTech | EVに対応した統合コックピットの実現 HUDの進化による安全性の向上 |
Rælclear (透明ディスプレイ) |
高い技術開発力により実現したバックライト無しで表示が可能な液晶ディスプレイで、電源や駆動回路、HDMIと組み合わせて作られた透過率84%を誇るモニターセット。 映し出された映像は、表と裏の両面からクリアに見ることが可能。 |
新技術・新商品・新事業 | 独自技術の用途拡大 課題解決型の新規事業 |
ジャパンディスプレイ(JDI)は2023年4月10日、世界第3位の生産出荷規模を誇る広東省深圳市のディスプレイメーカーのHKC:惠科股份有限公司との間で、グローバル戦略パートナーとして次世代OLED ディスプレイ技術の推進と工場建設などに関する戦略提携覚書を4月7日付で締結したと発表した。
有機ELは韓中勢が席巻する。JDIは上記の多くの技術を持つが、赤字経営が続き、資金力で劣る。
他方、HKC は、近年、大型ディスプレイ分野において急速な成長を遂げているエレクトロニクスメーカーで、2017年以降、中国の重慶、滁州、綿陽、長沙にて次々と第8.6世代ディスプレイ工場での量産を開始して売上を急拡大しており、強力なコスト競争力、販売力、機動力、更には資金力も有している。
JDIとHKC は、JDIの「世界初、世界一」独自技術及び生産技術力、HKC のコスト競争力及び販売力、並びに両社の人材力の融合が、両社の企業価値の飛躍的向上に資するとの考えで一致した。
JDIが虎の子の技術を供与してHKCが中国国内で工場を建設、2025年の量産を目指す。新工場の投資額は数千億円規模になる。JDI側は工場建設への直接的な投資は行わなず、技術者を送るなどして対価を得る。
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JDIは9月29日、中国パネル大手の恵科電子(HKC)との有機ELパネルの量産に関する提携交渉を打ち切ったと発表したが、 同日、中国安徽省蕪湖経済技術開発区で25年以降の稼働を目指して有機ELパネルの工場建設を計画することも発表した。
HKCとは別案件で、現地に新会社を設立する方針だが、総投資額や出資比率は未定。中国企業や投資家からの資金を募る。地方政府などと協議して23年12月末までに最終合意を目指す としている。
同社は、2022年に、マスクレス蒸着とフォトリソを組み合わせた方式で画素を形成し、輝度・寿命を大幅に高める次世代 OLED「eLEAP」の開発に成功した。2024年からの千葉県茂原市の G6 工場で量産開始(月産 1.3K シート)を予定している。
蕪湖開発区内で G6 工場(月産 10K シート)と G8.7 工場(月産 30K シート、G8.7 のガラス基板面積は G6 の倍以上)を建設する予定で、これにより同社の生産能力を 50倍以上拡大する。G6 工場の量産開始は 2025年11月、G8.7工場の量産開始は 2026年12月を予定している。
JDI の技術が6つの「世界初、世界一」独自技術を持つ ものであれば、ライセンスではなく、当初から自社でやるべきであった。自社でやる資本力がないため、ライセンスでやることにしたと思われるが、今回、資金をどうするのだろうか。
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