米、中国向け半導体輸出規制を強化

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米政府は10月17日、中国に対するこれまでの半導体輸出規制を大幅に強化すると発表した。


バイデン米政権は2022年10月7日、中国への半導体先端技術の新しい輸出規制を実施すると発表した。その後、日本やオランダが追随した。 

2022/10/10 米国、半導体の対中輸出制限を拡大


今回の新たな規制のポイントは下記の通り。

中国通信機器大手の華為技術(Huawei)は8月に回路線幅 7ナノメートルの半導体「キリン9000s」を搭載したスマートフォン「Mate60Pro」を発売した。この先端半導体は、中国の半導体受託生産大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)が受託生産した製品とされ、高速通信規格「5G」相当の通信性能も持つ。

2023/9/11 中国Huawei、米国の制裁を克服し5G対応のスマホ発売

SMICがそれを製造する際に米国の技術(機械、コンポーネント、スペアパーツ、材料)を使用していることは明らかであるとされるが、その入手経路は明らかとなっていない。

これにより、従来の規制の有効性を危ぶむ声が高まった。


今回、世界各地の中国企業の子会社や事業所への輸出も事実上、禁じる。中国と関係が近いおよそ45の国も輸出規制の対象にし、第三国を迂回して仕入れる抜け穴を封じる。

米技術を使った製品であれば日本などの海外企業も規制の対象になるとみられ、中国企業の子会社との取引を精査する必要がでてくる可能性がある。

Bahrain、Egypt、Kuwait、Oman、Qatar、Saudi Arabia、アラブ首長国連邦(UAE)など40を超える国に先端半導体を輸出する際も、米当局に許可を求める。中東の国々のほか、ベトナムやラオスなども対象に入った。

輸出管理規則(EAR)のカントリー・グループで区分


輸出先が「D:5」に指定の国に本社がある企業

輸出先が「D:1」「D:4」「D:5」に指定の国
(ただし、カントリー・グループで「A:5」か「A:6」にも指定されている国は除く。)イスラエルはD4でA6、キプロスはD5でA6

このうち米国が武器の禁輸対象国としている21カ国(「D:5」に指定されている国)には半導体製造装置でも別途、輸出の認可を要求する。米商務省は原則は申請を拒否する見通し。

人工知能(AI)に使われる先端半導体の輸出をより厳しく制限するのも柱になる。

人工知能(AI)半導体開発を手掛ける中国スタートアップの上海壁仞智能科技(Biren Technology) Moore Thread Intelligent Technology およびその関連会社を含む13の中国企業を輸出管理規則上のエンティティー・リストに追加した。

商務長官は「本日の改定規則はわれわれの輸出管理の効果を強化し、その迂回経路を遮断するもの」との声明を出し、規則改定の背景を説明している。
例えば1年前の規則導入以降、AI半導体を扱う米国のNVIDIA Corporationは規則に該当する製品よりもわずかに仕様を落とした製品を中国に納入していたが、米国政府高官によると、今回の改定でそれら製品も実質的に対中輸出ができなくなる。

NVIDIAは昨年、輸出規制で先端AIチップである「A100」「H100」を中国に販売できなくなると、低仕様の「A800」および「H800」を販売してきた。今回の規制で「A800」および「H800」の販売が阻害される。

ゲーム向け半導体のうちの一つも規制の対象になる。

NVIDIAはデーターセンター用半導体の売り上げの25%を中国市場に依存しており、今回の規制強化に苦慮している。

アメリカの半導体業界の売り上げの99%を占めている米半導体工業会は、新たな措置は「過度に広範」であり、「海外の顧客に他を当たるよう促すことになるため、国家安全保障を促進することなく、アメリカの半導体業界のエコシステムを害する危険がある」と述べた。

中国商務省は10月18日、「強烈な不満と断固とした反対」を表明した。「中国は、自国の合法的な権益を断固として守るためあらゆる必要な措置を講じる」と対抗措置をとる可能性を示唆した。

西村経済産業相は10月20日の閣議後の記者会見で、先端半導体を巡る米国の対中輸出規制強化に関し、日本企業への影響を注視していく考えを示した。

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