ExxonMobil、アーカンソー州でリチウム生産 : GMはネバダで

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ExxonMobilは11月13日、アーカンソー州で2026年までにリチウム生産を開始する計画を発表した。

同社は本年5月にGalvanic Energyが所有するアーカンソー州の「スマックオーバー層」(深さ約9,000フィートで発見されたジュラ紀上部の岩石層)の12万エーカー以上の土地を買収した。

スマックオーバー層は石油とガスの鉱脈で、油田の塩水に臭素とリチウムが含まれている。現在、アーカンソー州は世界第2位の臭素供給地 である。エクソンにとり、石油およびガス産業で使用されているのと同じ技術の多くを使用して臭素とリチウムを確保できる。

Galvanic社はこの土地には炭酸リチウム相当量(LCE)が400万トンあると推定しており、これは5000万台のEVの製造に十分な量であるとしてい る。最近掘削された試験井で平均LCE量が1リットルあたり325ミリグラムであることが示されたと報告しており、これは北米のリチウム塩水貯留層の中で最高濃度であるとしてい る。

ExxonMobilはこの計画を"Project Evergreen" と名付け、「スマックオーバー層」の掘削を進めるとともに、商業生産の鍵を握る「直接リチウム抽出法(DLE)」 (かん水をフィルターや吸着膜などを通すことによりリチウムを抽出)と呼ばれる新たなリチウム生産方法の試験を行ってきた。

6月下旬に同社は隣接地を所有するTETRA Technologiesとの提携し、リチウムと臭素を含んだ塩水鉱床を開発する契約を結んだ。




TETRA Technologiesとの提携で、2026年までに少なくとも年間1万トンの生産を開始する計画で、これはEV約10万台のバッテリー生産に必要な量に相当する。成長を続ける国内のEV製造拠点への主要サプライヤーとなる立場に なる。

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米国のリチウム産地はもう一つある。

ゼネラルモーターズ(GM)は2023年1月31日、カナダの資源会社Lithium Americasが進める米国ネバダ州Thacker Pass鉱山でのリチウム開発プロジェクトに対し、6億5,000万ドルの株式投資を行うと発表した。


タッカーパス鉱山は2026年後半に生産を開始する予定で、GMは今回の投資を通じ、生産開始後の第1フェーズで独占的にリチウムの供給を受ける権利を得る。

Lithium Americasは2007年に設立された企業で、現在は米国のほか、アルゼンチンでのリチウム開発プロジェクトも手掛ける。

GMが今回投資するタッカーパスのリチウム鉱床はネバダ州北部にあり、約1,630万年前に形成され現在は活動を停止している1,200平方キロの大規模火山McDermitt Calderaに位置する。火山噴火時に形成されたリチウムを豊富に含む湖が再度の火山活動により干上がり、地表近くに鉱床が形成されたという。

リチウムの埋蔵量は米国最大で、炭酸リチウムに換算して年間8万トン、最大で100万台分のEVバッテリー用のリチウム生産が可能になると見込まれている。

この土地は、Paiute、Shoshone、Washoe の先住民3族からなるReno-Sparks Indian Colonyの聖地であり、勝手に開発を始めたとして裁判になったが却下された。


参考



    https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adh8183


南米ではチリ北部、ボリビア南西部、アルゼンチン
北西部で形成するアンデス山脈沿いの高地(標高4000m級)に「リチウム三角地帯(LithiumTriangle」と呼ばれる塩湖地帯が広がっている。ボリビアは世界最大のウユニ塩湖、チリは世界第2位のアタカマ塩湖 を擁し、アルゼンチンはオンブレ・ムエルト塩湖をはじめとしていくつもの塩湖が点在する。埋蔵量はチリが930万トンと圧倒的に多い。

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