ルネサス エレクトロニクスは11月14日、INCJ(2018年9月に産業革新機構から新設分割)が所有するルネサスの全株式をINCJが売却したと発表した。
ルネサスは、2013年9月30日にINCJ等を割当先とする第三者割当増資を実施し、INCJの所有割合は69.15%となった。
産業競争力強化法に基づき設立された産業革新機構(現「INCJ」)は、2025年3月までに保有する全ての株式等を処分する必要があり、現在は新規投資は行わず、既投資案件のバリューアップとエグジットに注力してきた。
2017年よりINCJはルネサス株式の売却を段階的に開始し、2023年11月13日時点での所有割合は7.38%に低下していた。残りも海外機関投資家などに売却し、本売却完了により、INCJの所有割合は0.00%となる。
ルネサスの株価は2013年9月の出資時から直近までに約5倍に上昇した。
2010/4 2014/3/31 2018/6/30 2020/12/31 2021/12/31 2022/12/31 2023/11/14 産業革新機構→INCJ - 69.15% 33.38% 32.15% 20.14% 12.43% 0% 三菱電機 25.1% 6.26% 4.53% 4.37% 2.60% 2.82% 日立製作所 30.7% 7.66% 3.71% 3.57% 3.18% 3.44% NEC 33.4% 0.75% - - - - デンソー - 0.49% 4.99% 8.84% 7.87% 8.52% トヨタ自動車 - 2.49% 2.99% 2.88% 3.85% 4.17% 日産自動車 - 1.49% - - - -
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しかし、過剰な設備や人員を抱え、最終赤字が続いた。
2012年12月に懸案となっていた財務基盤の抜本的強化について、産業革新機構・トヨタ自動車・日産自動車など9社を割当先とする総額1500億円の第三者割当増資を行うことを発表した。2013年9月30日に払込手続きが完了し、産業革新機構が 約69%で筆頭株主となった。
その後、大規模な人員削減や不採算事業の撤退を進めた。
2013年10月、確実に収益をあげる企業体質を目指し、「ルネサスを変革する」として、各種構造改革から成る「変革プラン」を発表、2014年3月期に2010年のルネサス エレクトロニクス発足来、初めて最終黒字化した。
今回の株式売却に当たり、INCJは「変化の激しい半導体業界を勝ち抜くための成長投資として、2013年に出資をしてから10年、ルネサスは、構造改革を着実に実行し、確実に利益を出せる体質に変革を遂げた」と述べた。
ルネサスは「ルネサスの成長に向けた礎の構築に大きく貢献したINCJの出資とこれまでのご支援に深く感謝する。ルネサスは、今後も更なる成長を加速し、組み込み半導体ソリューションのリーダーを目指す」としている。
演算用のマイコン半導体と車載などに使うアナログ半導体を組み合わせる販売戦略で業績を拡大、2022年12月期の売上高はINCJ出資前の2013年3月期比で約9割増えた。
最近の同社の業績は下記の通り。(億円)
2018/12 2019/12 2020/12 2021/12 2022/12 売上収益 7,565 7,182 7,157 9,944 15,027 営業利益 1,040 925 1,375 2,966 5,594 株主帰属当期利益 834 759 1,115 2,222 3,773
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