米下院議長が暫定予算案

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米下院のジョンソン議長は11月11日、1週間後の政府機関閉鎖を前に、共和党の暫定予算案を発表した。ただ、与野党双方から反対の声が出ている。

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下院は9月30日に11月半ばまでの45日分の予算を確保する「つなぎ予算案」を賛成多数で可決し、与党・民主党が多数派の議会上院に送られた。

今回の案には民主党が求め、保守強硬派が反対していたウクライナ支援の予算60億ドルが盛り込まれていないが、これまで共和党が主張していた支出の削減が修正され、バイデン政権が求めていたものと同程度の予算額となったことなどから民主党の賛成をとりつけたものとみられている。ホワイトハウスが求めた緊急災害援助160億ドルが認められた。

投票は賛成335、反対91で、超党派での可決となった。賛成票の多くは民主党票で、つなぎ予算案を主導した共和党のマッカーシー下院議長が共和党内の反対を押し切った形となった。

米上院は同日、10月1日午前0時の期限を数時間後に控え、下院が通した11月17日までのつなぎ予算案を可決した。

バイデン大統領は同日、つなぎ予算案に署名、政府機関閉鎖を土壇場で回避した。

2023/10/2 米議会、土壇場で政府機関閉鎖を回避

しかし、マッカーシー議長がつなぎ予算成立を図るため、民主党の支持を得たことを問題視し、下院共和党保守強硬派の議員が下院議長の解任動議を提出、民主党の賛成で成立してしまった。

その後、後任が決まらず、3週間以上にわたって法案の採決などができない状況が続いたが、下院共和党は10月24日にようやく4人目の議長候補として下院共和党会議の副議長を務めるMike Johnson 議員を決め、10月25日の下院本会議でようやく正式に議長に選出された。

2023/10/26  米下院議長に共和党のMike Johnson 議員を選出 

この間、バイデン政権は10月19日に、イスラエルとウクライナへの軍事支援と米・メキシコ国境警備強化の資金等々のため、1060億ドル(約15兆8900億円)近い緊急予算案を公表した。

うち、イスラエル、ウクライナ向けは次の通り。

ウクライナ関係 614億ドル ウクライナへの武器供与と在庫補充 300億ドル
ウクライナでの軍事情報支援 144億ドル
米国への避難民のサポート 5億ドルほか
イスラエル関係 143億ドル 防空システム、ミサイル防衛システム、その他の武器の購入

しかし、下院は11月2日、共和党が提案したイスラエル支援に限定した緊急予算案(143億ドル)を可決した。しかもこれは追加歳出ではなく、財源として2022年8月に成立したインフレ抑制法に盛り込んだIRS(内国歳入庁)のシステム改修・人員増などの予算を回すものである。

民主党が多数の上院はこれに反対しており、ホワイトハウスも「仮に法案が可決されれば拒否権を発動する」としている。

2023/11/3 米下院、共和党提案のイスラエル支援限定の緊急予算案可決

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つなぎ予算は11月17日に失効するが、共和党内の対立、共和党と民主党の対立で、本予算はもちろん、さらなる「つなぎ予算」の見通しが立っていない。

下院のジョンソン議長は11月11日、1週間後の政府機関閉鎖を前に、共和党の暫定予算案を発表した。下院議事運営委員会は13日に公聴会を開き、つなぎ予算案を審議し、下院本会議で採決を行うかどうかや、採決実施の場合の手順を設定する。

内容は:

新規のつなぎ予算案は退役軍人省やエネルギー省、農務省、運輸省、住宅都市開発省向けが来年1月19日まで、それ以外は2月2日までの歳出をまかなう。

共和党保守派の一部が求めている支出の即時30%削減や移民政策変更を盛り込まなかった。

イスラエルやウクライナへの新たな支援も除外された。

ホワイトハウスの大統領報道官は11日、「この提案は共和党にとってのさらなる混乱と政府閉鎖リスクの種になる("a recipe for more Republican chaos and more shutdowns - full stop." )」と政権として懐疑的な立場を表明した。そして、「下院共和党は時間の無駄遣いをやめ、政府閉鎖を回避するため超党派の手法で取り組む必要がある」と訴えた。

下院共和党の保守強硬派「フリーダム・コーカス(自由議連)」のメンバーで、歳出削減を含めるよう求めていた議員は「100%反対だ」とソーシャルメディアに投稿した。

上院民主党スタッフの1人は、ジョンソン議長の提案に大幅支出削減が盛り込まれなかったことや、国防支出のつなぎ予算案が2月2日までの長めの期限の対象となっている点に歓迎の意を示した。



米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは11月10日、米国の信用格付け見通しを従来の「ステーブル(安定的)」から「ネガティブ(弱含み)」に引き下げた。財政の健全性に関するリスクや政治の分極化を理由に挙げた。

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