東京電力等、内幸町の再開発ビルに折り曲げられる次世代太陽電池「ペロブスカイト型」を導入

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東京電力等は「内幸町一丁目街区南地区第一種市街地再開発事業」を推進しているが、11月15日、積水化学工業が開発したフィルム型ペロブスカイト太陽電池(Perovskite solar cell:PSC)をサウスタワーのスパンドレル部(ビルの各階の床と天井の間に位置する防火区画に位置する外壁面)に設置すると発表した。

東電本社などを解体して開発する高層ビルの外壁に設置する。フィルム型の太陽電池を各階の床と天井の間にできる空間を埋めるように敷き詰める。

サウスタワーでの太陽光発電の発電容量は定格で1,000kW超を計画しており、実現すると世界初の「PSCによるメガソーラー発電機能を実装した高層ビル」となる。都心部におけるエネルギー創出の最大化およびエネルギーの地産地消の促進に取り組む。

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ペロブスカイトは灰チタン石といわれる酸化鉱物の一種 で、基本的な化学組成をチタン酸カルシウム(CaTiO3)とする。高温で等軸晶系、低温でペロブスカイト構造という結晶構造をとる。


光が当たると、ペロブスカイト層でプラスの電荷を持つ「正孔」とマイナスの電荷を持つ「電子」が生まれ、正孔は正孔輸送層に、電子は電子輸送層へ移動する。この現象を利用して外部回路に電気を取り出す。

  https://www.komei.or.jp/komeinews/p305874/

ペロブスカイト膜は、塗布技術で容易に作製できるため、既存の太陽電池よりも低価格になる。さらに、フレキシブルで軽量な太陽電池が実現でき、シリコン系太陽電池では困難なところにも設置することが可能になる。

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2009年にこの画期的な太陽電池を最初に提案したのが宮坂力・桐蔭横浜大学 大学院工学研究科 教授で、世界的な注目を集めた。


宮坂教授はチタン酸カルシウムは用いておらず、これと同じペロブスカイト構造を採るNH3CH3PbI3と を使った。濃い褐色であり、可視光の利用率が高い。宮坂教授はこの材料を、世界で最初に太陽電池に応用した。

現在の主流は、ヨウ化鉛メチルアンモニウム(MAPbI3などで、この主要な原料はヨウ素で、日本のヨウ素生産量は実はチリに次ぎ世界第2位で、エネルギーの安全保障という面でも注目されている。

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積水化学のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の厚さは全体で1mmほど。厚みのほとんどはバックシートとバリアフィルムで、基材が100ミクロン、ペロブスカイトの発電層はわずか1ミクロンしかない。この厚さ1mmの中に真空成膜や切削加工、精密塗工の他、いわゆる接着剤のような役割を果たす封止技術も取り入れ、水の浸入を防ぐ。

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