国産の新型コロナワクチン、接種で使用へ

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第一三共は11月17日、厚生労働省との間で、2023年秋開始接種に使用するオミクロン株XBB.1.5対応のCOVID-19新型コロナウイルス感染症 1価mRNAワクチン(DS-5670)を供給することに合意したと発表した。

今回の合意は、厚生労働省による本剤の薬事承認を条件とし、2023年度中に140万回分を供給するもの。

厚労省の専門部会は11月27日、本ワクチンの承認を了承した。

今後、正式承認を経て、12月上旬にも医療機関への配送が始まり、現在実施中の接種での使用が予定されている。

これまで海外メーカーのワクチンに依存していたが、国産ワクチンの使用にめどが立ったことで、今後、新たな変異株が流行しても、海外企業に頼らずワクチンを国内で調達できる体制が整う。

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第一三共は2023年1月13、開発中の新型コロナウイルス感染症に対するmRNAワクチン 「DS-5670」について、追加免疫の国内製造販売承認申請を行った。

国内の既承認のmRNAワクチン(Pfizer-BioNTech 、Moderna)の初回免疫(2回接種)完了後の健康成人及び高齢者約5,000名を対象とした国内第1/2/3相臨床試験の結果に基づくもの。

2023/1/16 第一三共、COVID-19に対するmRNAワクチンDS-5670国内における製造販売承認申請 

第一三共は8月2日、新型コロナウイルス感染症に対する起源株1 mRNAワクチン「ダイチロナ®筋注」(DS-5670)について、「SARS-CoV-2による感染症の予防」を適応とした追加免疫における国内製造販売承認を取得したと発表した。

国産初のmRNAワクチンで、ファイザーやモデルナのワクチンは冷凍保存が原則必要だが、冷蔵(28℃)での流通・保管が可能となるため、医療現場での利便性の向上が期待できる。

しかし、今回承認された本剤は追加接種に用いられる起源株1価のmRNAワクチンであることから、供給を予定していない。

同社は、XBB.1系統1価ワクチンに対応できるよう開発を進めた。


第一三共は9月6日、開発中のCOVID-19に対するmRNAワクチン(「DS-5670」)の追加免疫を対象とした日本での第3相臨床試験において、主要評価項目を達成したと発表した。

同社は翌9月7日に、12歳以上の追加免疫に対するオミクロン株XBB.1.5系統対応のCOVID-19 1価mRNAワクチン(DS-5670)について、日本における製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったと発表した。

今回、これが承認されるもの。

第一三共は新型コロナワクチンを埼玉県北本市の工場で製造する。「政府と合意した140万回分は生産のめどが立っている」としている。

厚労省は9月〜2024年3月末に実施する接種用にPfizer、Modernaと計4500万回分を購入契約している。第一三共製は両社に比べ購入量が少ないため、接種できる場所は限られる見通し。

PfizerやModernaが開発したmRNAワクチンは、ウイルスのスパイクたんぱく質全体が作られるが、第一三共のワクチンは、スパイクたんぱく質の中でも、ヒトの細胞と結合するRBD=受容体結合ドメインという部分だけが作られるため、設計図となるmRNAの長さがより短くなっており、製造工程で品質を管理しやすいほか、変異ウイルスに対応してmRNAを作り直す作業が進めやすいといった利点があるという。

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厚労省の専門部会は11月27日、Meiji Seika ファルマの新型コロナワクチン「コスタイベ筋注用」の製造販売承認についても了承した。武漢由来の従来型対応のため、現在の接種では使われない見通し。

米国のバイオ企業 Arcturus Therapeutics が開発したレプリコンワクチンと呼ばれるタイプ(与後に体内で成分が増える自己増殖型ワクチン)で、PfizerやModerna製の既存ワクチンに比べ、少ない接種量でワクチンの効果が持続することが期待されている。

Arcturus Therapeuticsは2013年に設立された米国を拠点とする製薬企業で、後期臨床ステージの感染症用ワクチンをはじめ、肝臓や呼吸器の希少疾患に有効なmRNA医薬品の研究開発を行っている。

Meiji Seikaファルマが日本での供給や販売を担う。

従来型に対応したワクチンは4月に初回免疫用、6月30日に追加接種用として厚労省に製造販売承認を申請した。今回、これが承認される。

Meiji Seikaファルマは本年7月、オミクロン型の派生型「XBB.1.5」に対応したワクチンを、2024年1月までに厚生労働省に申請すると発表した。小林社長は「国内で生産体制を持つことが重要だ。二度と『ワクチン敗戦』と言わせないために努力をしている」と述べた。

Meiji Seikaファルマはワクチンを、医薬品の受託製造会社のアルカリス(千葉県柏市)と連携し、福島県南相馬市の工場で生産する予定。

アルカリスは、2017 年に武田薬品の創薬プラットフォーム事業を継承し事業を開始した日本初の創薬ソリューションプロバイダーである Axcelead Drug Discovery Partnersのグループ企業アクセリードが、Arcturus Therapeutics とのJVで設立したもの。

Arcturus Therapeuticsの研究開発パイプラインの製造拠点としての責任を果たしつつ、世界中の製薬会社、創薬ベンチャー、アカデミアなど幅広い顧客に高品質のmRNA医薬品の安定供給を約束する世界初の統合型mRNA医薬品CDMOを目指している。

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