米下院、刑事訴追の議員を除名

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米連邦議会下院は12月1日、経歴詐称や選挙資金の不正利用などが指摘され、複数の刑事事件でも訴追されている共和党のGeorge Santos下院議員の除名処分を、超党派の賛成で可決した。

付記

10月に史上初めて下院議長職を解任されたマッカーシー下院議員(共和党)は12月6日、年末に議員を辞職すると表明した。共和党議員が2名減ることになる。

共和党 民主党 合計 欠員
賛成 105 206 311  
反対 111+本人 2 114  
棄権 5 5 10  

 合計

222 213 435 0
今後 220 213 433 2


下院による Santos 議員の除名決議はこれで3回目。

今回の下院の採決で超党派の311票が賛成し、初めて、憲法が議員除名に必要と規定する3分の2の賛成に達した。反対票は本人を含め114票だった。倫理委員会の調査で新たな窃盗などの疑惑が出てきたことを受け、過去に除名に反対してきた共和党議員の多くが賛成に回った。

米国憲法 第5条[議会手続]
[第2 項]両議院は、各々その議事規則を定め、秩序を乱した議員を懲罰し、3分の2の同意によって議員を除名することができる。

空席を埋める特別選挙は来年2月ごろに行われる見通し。

下院議員が除名となるのは2002年以来で、史上6人目。

過去に除名された5人のうち3人は、南北戦争で南軍を支持したのが理由だった。他の2人は、刑事事件で連邦法違反罪に問われて有罪判決を受けていた。

なお、上院は15人で、うち14人は南北戦争で南軍を支持。1人は土地投機にからみ、スペイン領であったフロリダとルイジアナを英領にすべく策略した件で1798年に議員として最初に除名。


Santos議員は2022年の中間選挙で、ニューヨーク州ロングアイランドから初当選した。しかし、当選後には複数の経歴詐称や詐欺疑惑が浮上した。

2022年11月の当選から間もなく、New York Timesが経歴詐称の疑惑を報道。議員は詐称を認めたが「犯罪者ではない」として当選を辞退しなかった。

これを機に、大学のバレーボールチームのチャンピオンであったとか、ゴールドマン・サックスやシティグループで働き、富を築いたとか、彼の母親が9/11のテロ攻撃でワールドトレードセンターにいたと主張するなど、数多くの誇大広告と事実に反する主張をしていたことが発覚した。

その後も、犬のブリーダーに対する詐欺行為など、議員に関する疑惑が相次いで明らかになった。

今年5月には、資金洗浄や公金横領など23件の犯罪について連邦検察に訴追された。本人は無罪を主張し、公判開始を控えている。司法取引を交わさずに有罪となった場合、約20年の実刑判決を受ける可能性がある。

11月に公開された下院倫理委員会の報告書では、「下院候補としてのあらゆる側面を自分個人の経済的利益のために」悪用したと断定された。

倫理委は、美容目的のボトックス治療や私的なクレジットカード支払い、ポルノなどを含む有料コンテンツサイト「OnlyFans」の代金、ニューヨーク郊外のリゾート通いなどに、選挙資金を使っていたと結論した。

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