経産省、ロームと東芝デバイス&ストレージが共同で進める 「パワー半導体の供給確保計画」を助成

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ローム㈱と東芝デバイス&ストレージが、共同で申請していたパワー半導体に関する製造連携及び量産投資計画が12月8日、経済産業省の「半導体の安定供給確保のための取組に関する計画(供給確保計画)」として認定された。政府から最大1,294億円の支援を受ける見通し。


ロームがSiC(炭化ケイ素)パワー半導体、
東芝デバイス&ストレージがSi(シリコン)パワー半導体
への投資を重点的に行うことで効率的に供給力を拡大しそれを相互に活用する製造に関する連携を行うもの。

SiCパワー半導体が2026年4月から年産72万枚(8インチ換算)、SiCウエハーが2025年1月から年産70.8万枚(8インチ換算)、シリコンパワー半導体が2025年3月から年産42万枚(12インチ換算)を予定している。

電力を供給、制御する役目を果たすパワー半導体は、脱炭素社会やカーボンニュートラルの実現に向けて必要不可欠であり、今後も継続的な需要拡大が見込まれている。
自動車向けにおいては、電動化が急速に進む中、より高効率で小型・軽量化された電動パワートレインシステムの開発が進んでいる。
また、産業機器向けにおいても、自動化・効率化の要請は強く、パワー半導体の安定供給に加えて、性能向上にも大きな期待が寄せられている。

ロームは、世界で初めてSiC MOSFETの量産を開始して以来、常に業界をリードする技術開発を進めており、最新の第4世代SiC MOSFETは、数多くの電気自動車や産業機器等への採用が予定されている。また、急拡大するSiC需要に応えるため、生産能力増強に積極的かつ継続的な投資を計画する等、重点事業の一つとして取り組んでいる。

東芝デバイス&ストレージは、車載、産業向けを中心にSiパワー半導体を長年供給し、あらゆる電気機器の省エネ化・小型化に貢献してきた。昨年より300mmウエハを用いた生産を開始するとともに、引き続き旺盛な需要に応えるべくさらなる生産能力増強に取り組んでいる。
SiCパワー半導体についても研究開発を加速しており、鉄道向けで培ったノウハウを活用することによって、車載や送配電分野などに向けた製品ラインアップ拡充に努めている。

ロームは東芝の非公開化に際して3000億円を出資をしたことを公表しているが、これと関係なく、かねてよりパワー半導体事業における連携を検討しており、このたびの共同申請となったもの。ロームがSiCパワー半導体、東芝デバイス&ストレージがSiパワー半導体への投資を重点的に行い、相互に補完しあえる製造連携を加速することで、両社の国際的な競争力向上を目指すとともに、国内サプライチェーンの強靭化にも貢献する。

<認定された供給確保計画の概要>

SiCパワー半導体、Siパワー半導体及びSiCウエハの国内における生産能力の強化

ローム 東芝 合計
事業者名 ローム、
ラピスセミコンダクタ
東芝デバイス&ストレージ、
加賀東芝エレクトロニクス
事業総額 2,892億円 991億円 3,883億円
最大助成金額 1,294億円
(事業総額の1/3)
生産場所 宮崎県国富町
ラピスセミコンダクタ宮崎第二工場
石川県能美市
加賀東芝エレクトロニクス
主要製品 SiCウエハ 2025/1 70.8 万枚/年(8 インチ換算)
SiC パワー半導体 2026/4 72.0 万枚/年(8 インチ換算)
Siパワー半導体 2025/3 42.0 万枚/年(12 インチ換算)


ロームは
1958年設立の京都の半導体メーカー。

現在ではLSIをはじめ、ディスクリート半導体、光半導体、モジュール、バイオチップにいたるまでで、半導体製品を中心とした、さまざまな分野で開発、製造、販売をワールドワイドに展開している。

ラピスセミコンダクタについて

ラピステクノロジーはもともとOKIの半導体部門を源流としており、2008年にOKIセミコンダクタとしてロームグループの傘下に入った。
2011年にOKIセミコンダクタからラピスセミコンダクタへと社名変更をし、2020年に同社のLSI事業部門を切り出す形でラピステクノロジーが生まれた。

当時は商品企画、開発を担うラピステクノロジーと生産活動を担うラピスセミコンダクタそれぞれで専門性を生かすという目標を掲げていた。

ロームは2023年9月25日、100%子会社のラピステクノロジーを2024年4月1日に吸収合併することを発表した。

ロームは7月12日、出光興産子会社のソーラーフロンティアから、同社の国富工場の資産取得について基本合意し、11月に取得完了した。

今後、ローム製造子会社のラピスセミコンダクタの宮崎第二工場として整備、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の主力生産拠点として2024年度中の稼働を目指す。

8インチウエハーラインでSiC半導体を量産するほか、同サイズのウエハー基板も生産する。

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経済産業省の「半導体の安定供給確保のための取組に関する計画(供給確保計画)」の概要と、承認済みの計画(今回を含め18件)については下記を参照。

https://www.meti.go.jp/policy/economy/economic_security/semicon/index.html

これとは別に、特定半導体生産施設整備等計画認定制度があり、これまでTSMC、キオクシア、マイクロンメモリ(2件)が多額の助成金を認められている。

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/laws/semiconductor/semiconductor_plan.html

なお、次世代半導体の国産化をめざす共同出資会社「Rapidus」が北海道に建設する新工場に対しては、政府はポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の採択先として、2回計3300億円を補助している。

2023/4/26 政府、ラピダスに2600億円の追加補助

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