経産省、洋上風力発電を担う事業者の公募結果を発表

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経済産業省は12月13日、国が指定した秋田・新潟・長崎の3海域で洋上風力発電を担う事業者の公募結果を発表した。

公募された海域は再エネ海域利用法で促進区域に指定しており、事業者は最大30年間占有できる。今回は2021年末の初回に続く第2弾となる。

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2022年に国の洋上風力発電公募入札の評価基準が問題になった。

日本で洋上風力発電の導入が進んでいなかったのは、①海域の占用に関する統一的なルールがない、②先行利用者との調整の枠組みが存在しないのが問題である。


これらの課題の解決に向け、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」(「再エネ海域利用法」)が成立、2019年4月に施行された。選ばれた事業者はその区域内で最大30年間の占用許可を得る。 

促進区域に5か所が指定され、それぞれ入札により4か所の事業者が選定された。 

    選定事業者
促進地域 ①長崎県五島市沖 1.7万kw 戸田建設グループ
②秋田県能代市・三種町・男鹿市沖 47.88万kw 三菱商事連合 @13.26 (次点 @18.18)
③秋田県由利本荘市沖 81.9万kw 三菱商事連合 @11.99 (次点 @17.00)
④千葉県銚子市沖 39.06万kw 三菱商事連合 @16.49 (次点 @22.59)
⑤秋田県八峰町・能代市沖  
有望な区域 ⑥長崎県西海市江島沖 2022/9/30 「促進区域」に指定
⑦青森県沖日本海(南側)  
⑧青森県沖日本海(北側)  
⑨秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖 2022/9/30 「促進区域」に指定
⑩山形県遊佐町沖  
⑪新潟県村上市及び胎内市沖 2022/9/30「促進区域」に指定
⑫千葉県いすみ市沖  

②~④の公募入札で2021年12月、三菱商事を中心とする企業連合がすべてを勝ち取った。上の表のとおり、最安値は11.99円/kWhで、次点とは5円程度の差があった。

小泉進次郎前環境相は「運転開始時期が早いことはどのくらい評価されたのか」と疑問をぶつけた。2月3日の自民党の会合で河野太郎前規制改革相が「明らかに配点がおかしい」と経済産業省幹部に詰め寄った。

経済産業省は2022年3月18日、洋上風力発電の事業者を公募する際の審査基準を見直す方針を発表した。ウクライナ危機を受け、国産エネルギーの導入を加速する必要があると判断し、早期に稼働できることを重視する方向で検討した。

2022/2/24 国の洋上風力発電公募入札の評価基準が問題に

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今回の公募結果は下記の通り。

事業者 発電設備 運転開始
秋田県八峰町及び能代市沖 (下記)
長崎県西海市江島沖 住友商事、東京電力リニューアブルパワー 42.0万kW (1.5万kW×28基、Vestas製) 2029年8月
秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖 JERA、電源開発、伊藤忠商事、東北電力 31.5万kW (1.5万kW×21基、Vestas製) 2028年6月
新潟県村上市及び胎内市沖 三井物産、RWE Offshore Wind Japan 、
大阪瓦斯
68.4万kW (1.8万kW×38基、GE製) 2029年6月


秋田県八峰町及び能代市沖については、最も評価の高かった事業者に再提出させ、第三者委員会における評価等を経て、2024年3月に選定結果を公表する。

各件についての「非選定事業者名」や「事業実現性評価点」の詳細な点数内訳及び講評等については、「秋田県八峰町及び能代市沖」と合わせ、2024年3月に公表する。


なお、秋本真利衆議院議員が9月7日、洋上風力発電の入札制度を巡って風力発電会社「日本風力開発」の塚脇正幸社長(当時)から収賄し、その見返りに便宜を図ったという容疑で東京地検特捜部に逮捕された。

入札制度の変更にあたって、秋本議員が塚脇社長から収賄し、その見返りとして国会で質問をするなどして、日本風力開発に有利な制度になるよう活動したのではないか、という容疑である。



付記

評価の方法は、「価格点(120点満点)」と「事業実現性評価点(120点満点)」の合計で最高点だった事業者が落札者となる。

秋田県の「八峰町・能代市沖」と「男鹿市・潟上市・秋田市沖」、新潟県の「村上市・胎内市沖」の入札上限価格を19円/kWh
長崎県の「西海市江島沖」の上限価格を29円/kWhに設定していた。

「ゼロプレミアム水準」を3円/kWhとし、3円以下の価格はすべて価格点を満点(120点)とする。

「長崎県西海市江島沖」では、2事業者が入札に参加し、落札した事業者の価格が22.18円/kWhでもう1つの事業者よりも安く価格点で120点を獲得した一方、事業実現性評価点ではもう1つの事業者の方が高かった。結果的に価格点の差の方が大きかったため、住友商事、東京電力リニューアブルパワーのコンソーシアムが落札した。

「男鹿市、潟上市及び秋田市沖」では、3事業者が入札に参加し、価格はいずれも「ゼロプレミアム水準」で差が付かず、事業実現性評価点で最も高く運開時期が早かったJERA、電源開発、伊藤忠商事、東北電力のコンソーシアムが落札した。

「新潟県村上市及び胎内市沖」では、4事業者が参加し、そのうち3事業者の価格が「ゼロプレミアム水準」で差が付かず、事業実現性評価点で最も高く運開時期が早かった三井物産、RWE Offshore Wind Japan村上胎内、大阪ガスのコンソーシアムが落札した。

https://www.meti.go.jp/press/2023/12/20231213003/20231213003-1.pdf

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