中国は12月21日、レアアース(希土類)の抽出・分離技術の輸出を禁止した。
半導体材料となるガリウム・ゲルマニウムなどの輸出規制に続く措置で、戦略的鉱物で支配的地位を維持する狙いがあるとみられる。
中国は今年8月に半導体材料のガリウムやゲルマニウムの輸出規制を導入した。
2023/7/6 中国が半導体材料ガリウムなど輸出規制
12月1日からはEVの主要材料であるグラファイト(黒鉛)製品の一部も輸出を許可制にした。
中国の商務部と税関総署は10月20日、「輸出管理法」「対外貿易法」「税関法」の規定に基づき、国家の安全と利益を守るため、商務部・国防科学技術工業委員会・税関総署公告2006年第50号「黒鉛類関連製品に対して臨時輸出管理措置を実施する決定」に記載の品目を調整し、一部の黒鉛品目に対して輸出管理を実施すると発表した。12月1日から実施される。
人造黒鉛や天然黒鉛のうち、特定の特性を満たす品目について、無許可での輸出を禁止するとした。輸出事業者はこれらの品目を輸出するに当たって、省レベルの商務主管部門を通じて商務部に申請を行い、その審査・承認を経て「両用品目および技術輸出許可証」を取得する必要がある。
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レアアースの加工技術について、商務部は2022年12月に、国家安全保障と公共の利益の保護などを目的とする「輸出禁止・制限技術カタログ」に追加する方向でパブリックコメントを募集していた。
今回、レアアースを使った高性能磁石などの製造技術の輸出を禁止し、レアアースの精錬などに関連する技術についても輸出を制限すると発表した。
2023年12月21日 2023年商務部・科学技術部告示第57号
「中華人民共和国外国貿易法」および「中華人民共和国技術輸出入管理規定」に基づき、商務部と科学技術部は、「中国輸出禁止・制限技術目録」を公表し、2020年第38号(「中国輸出禁止・制限技術目録の調整内容」)を同時に廃止すると発表した。 軍民両用の技術は輸出管理の対象となる。
希土類金属と希土類磁石の製造技術を海外移転禁止品目リストに掲載した。レアアースの抽出や加工に関する技術を明記。高性能磁石のネオジムやサマリウムコバルトを作る技術も対象とした。
レアアースを使った高性能磁石は、EVのモーターなど、幅広い製品に使われているが、中国が世界のレアアースの産出量のおよそ7割を占めているほか、アメリカや日本など各国が高性能磁石を製造するためのレアアースの精錬や加工といった工程を中国に依存している。
中国は、こうした技術を囲い込むことで、半導体などの先端技術をめぐり、中国への輸出規制を強めるアメリカをけん制する狙いがある。
欧米は独自のレアアース加工産業の振興に力を入れているが、今回の禁輸措置は電気自動車(EV)のモーターや医療機器、兵器に使われ、中国が事実上の独占状態にあるいわゆる「重希土類」への影響が最も大きいとみられる。中国は世界の重希土類の99.9%の分離を手掛けており、欧米が新設している加工設備は主にネオジムやプラセオジムなどの軽希土類を扱っている。
中国は欧米のレアアース企業が苦戦しているレアアース精製のための溶媒抽出工程を確立している。
新たな規定はレアアース製品の出荷そのものには影響しないが、中国国外でレアアース産業を発展させようとする外国勢の取り組みを阻止しようしている可能性もあるされる。
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