NTT、米インテルなどと提携、光の半導体開発

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NTTと米インテル、韓国のSK Hynixなどは光技術を活用した次世代半導体を共同で開発する。NTTの次世代通信基盤の「IOWN」の中核技術で、日本政府が計約450億円を支援する。 日本経済新聞が伝えた。

NTTのIOWN (Innovative Optical and Wireless Network) 構想とは、革新的な技術によりこれまでのインフラの限界を超え、あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、多様性を受容できる豊かな社会を創るため、光を中心とした革新的技術を活用した高速大容量通信、膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想で、NTTが2030年の実現をめざして研究開発を始めている。

IOWN構想では、これまでの情報通信システムを変革し、現状のICT技術の限界を超えた新たな情報通信基盤の実現をめざしている。ネットワークから端末まで、すべてにフォトニクス(光)ベースの技術を導入した「オールフォトニクス・ネットワーク」、実世界とデジタル世界の掛け合わせによる未来予測等を実現する「デジタルツインコンピューティング」、あらゆるものをつなぎ、その制御を実現する「コグニティブ・ファウンデーション」からなりた つ。

  • オールフォトニクス・ネットワーク (APN: All-Photonics Network) <情報処理基盤のポテンシャルの大幅な向上>
  • デジタルツインコンピューティング (DTC: Digital Twin Computing) <サービス、アプリケーションの新しい世界>
  • コグニティブ・ファウンデーション (CF: Cognitive Foundation®) <すべてのICTリソースの最適な調和>

「IOWN」は電気と光を融合する「光電融合」と呼ばれる次世代の情報通信基盤で、NTTが2019年に世界に先駆けて構想を発表した。

電気は発熱しやすい性質をもつため、処理が高速になるほど消費電力が増え、遅延を生みやすい。そこで「IOWN」は、すべてのネットワークや情報処理を電気信号から光信号に変えることで、従来に比べて消費電力を100分の1に抑えられ、遅延はほとんどなくなり、容量を125倍に増やすことができる。

  • 「電力効率を100倍に」
    ネットワークから端末まで、できるだけ光のままで伝送する技術や、光電融合素子という新しいデバイスの導入を検討
  • 「伝送容量を125倍に」
    マルチコアファイバなどの新しい光ファイバを用いた大容量光伝送システム・デバイス技術の導入を検討
  • 「エンド・ツー・エンド遅延を200分の1に」
    情報を圧縮することなく伝送するなど、さまざまな新技術の導入を検討

これには情報処理、コミュニケーション、ネットワーク基盤の大きな転換が必要となり、多くの革新的な技術を創造し、組み合わせることが必要となるため、NTTグループのみで実現できることではない。

そこで、2020年1月に、インテル、ソニー、NTTの3社で、コミュニケーションの未来をめざした国際的な非営利団体「IOWN Global Forum」を設立した。2021年1月時点で39社、2022年1月時点で88社と、メンバー数を急速に拡大しながら活動を続け、その後さらに多くのメンバーが加入し、2023年9月時点でメンバー数は130を超える組織となっている。

日経によると、NTTは今回、光電融合の機器開発に取り組む国際協調の枠組みを整えた。

演算用の半導体を手掛けるインテル、記憶用の半導体を手掛けるSK Hynix と提携するほか、半導体基板の新光電機工業、半導体メモリーのキオクシアなども参画する。

光電融合技術のロードマップ


経済産業省は1月30日、NEDOの次世代通信規格「6G」向け通信基盤研究開発事業として 、「光電融合」技術に最大で452億円を補助すると発表した。

2029年までの5年間の研究開発を補助する。NTTや半導体基板の新光電気工業、半導体メモリーのキオクシアなどが対象。

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政府の半導体関連事業への支援としては3つある。

1) 次世代通信規格「6G (post5G) 」向け通信基盤研究開発事業 「Rapidus」向け 2回計3300億円

2)「半導体の安定供給確保のための取組に関する計画(供給確保計画)」 18件

3) 特定半導体生産施設整備等計画認定制度  TSMC、キオクシア、マイクロンメモリ(2件)

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