経済産業省は2月9日、人工知能(AI)向け半導体などの研究開発に最大450億円を支援すると発表した。ラピダスなどが参画する国内の研究機関・技術研究組合「最先端半導体技術センター」(LSTC、理事長=東哲郎ラピダス会長)に拠出する。
「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」について、研究開発項目②先端半導体製造技術の開発のうち、(d3)Beyond 2nm 世代向け半導体技術開発および(f1)2nm世代半導体チップ設計技術開発に関する採択審査委員会での審査を経て、採択先をいずれも最先端半導体技術センターに決定した。
前者に280億円、後者に170億円の計450億円を支援する。2029年までの5年間の研究に充てる。
最先端半導体技術センターは2022年12月21日に設立された。
組合員は、Rapidus(株)、物質・材料研究機構、理化学研究所、産業技術総合研究所で、準組合員に東京大学、東京工業大学、東北大学、筑波大学、高エネルギー加速器研究機構、名古屋大学、大阪大学、北海道大学が加わる。
事業は2nmノード以細の次世代半導体の短TAT製造技術の開発である。
組合設立の目的は、従来性能を凌駕する2nmノード以細の半導体を短TAT (Turn-Around-Time)で製造可能とするために必要な回路設計・デバイス・製造・装置/材料技術を策定し、組合員や外部機関と連携して要素技術研究を実施、研究成果の実用化を行うこと。実用化の方向性は、国際連携により開発が見込まれる短TATかつ2nmノードの製造技術・パイロットラインを活用しつつ、国内外機関と連携して、製品化に向けた設計・デバイス・製造・装置/材料技術を開発することで国内の半導体産業エコシステムを構築すること。
データ処理が速く、消費電力が少ないAI向け半導体の設計技術を研究し、国内で生産できるようにする。
最先端半導体技術センター(LSTC)はデータをサーバーに送らず、AIを組みこんだ端末側で計算処理する「エッジAI」向けの半導体の設計技術を研究する。将来的にラピダスでの量産を目指す。エッジAIは処理コストが抑えられるといった理由で需要が高まっている。
開発成果は2029年以降の市場投入を見込む。次世代品の1ナノの開発では半導体製造装置大手の米アプライドマテリアルズやIBM、半導体研究機関の仏Leti、ベルギーimecと要素技術の開発で連携する。
LSTCの理事長とラピダス会長を兼務する東哲郎氏は9日開いた会見で「技術開発やアプリケーション開発、人材育成までLSTCで担い、ラピダスが長期で最先端の技術をもてるようサポートする」と語った。
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