レゾナック、石油化学事業のパーシャル・スピンオフ検討開始

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レゾナックは2月14日、石油化学事業の持続的成長に向けた選択肢の一つとして、パーシャル・スピンオフについて検討を開始したと発表した。

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昭和電工は2019年12月18日、日立化成を株式公開買い付け(TOB)により買収すると発表、1株あたり4630円で2020年3月24日から4月20日までTOBを実施した。

TOBの結果、87.61%を取得した。4月28日付で昭和電工の連結子会社になり、その後全株式を取得し、6月23日に完全子会社とした。

昭和電工は連結子会社化した日立化成の社名を2020年10月1日付で「昭和電工マテリアルズ」に商号変更した。

昭和電工は2023年1月1日に持株会社体制へ移行、昭和電工マテリアルズと統合し、「レゾナック」Resonac)になると発表した。

2022/10/3 昭和電工、来年1月に昭和電工マテリアルズと統合、「レゾナック」に改称


昭和電工と昭和電工マテリアルズの統合による組み換えと、組み換え後の新セグメントの2023年12月期の実績は下記の通り。


同社はポートフォリオ最適化に向けた流れとして、下記の9つの事業を売却した。

2021年  昭光通商(商社)、アルミ缶事業、食品包装用ラップフィルム事業、アルミ圧延品事業、プリント配線板事業、
。。。。 。蓄電デバイス・システム事業

2022年  セラミック事業、ISOLITE(自動車等の断熱部品事業)

2023年  診断薬事業


今回、石油化学事業のパーシャル・スピンオフの検討を開始した。2~3年後の実行を念頭に、本年度末に向け、検討を進める。

同社は今後、半導体・電子材料事業に経営資源を集中することで、成長を促進する。

一方、同社にとって石油化学事業は、連結売上高の約20%を占める柱の事業の一つであり、「安定収益事業」と位置付けている。日本の社会インフラとしての役割を果たす公共的な側面があり、将来にわたって同事業の持続的・安定的な運営を行う必要がある。

そのため、スピンオフにより、独立した上場会社として石油化学のグリーン・トランスフォーメーションを実現可能とする取り組みを加速し、さらなる成長と競争力の強化を目指すことにした。

分離対象は大分コンビナート事業で、アンモニアなどを製造する川崎市などの化学品事業は含まない。

レゾナックHDが石化事業を新会社として分割し、新会社の株式20%未満を保有する。残りの株式を現物配当として同社の既存株主に分配する。

新会社は東京証券取引所に上場させる。2023年度の税制改正で始まった「パーシャル・スピンオフ」という事業再編の仕組みを使う。レゾナックHDは実質非課税で事業を切り離すことができる。

スピンオフ税制は、100%の分離を前提とするものであり、スピンオフ元親会社に子会社株式を一部残すパーシャル・スピンオフは、課税対象のままであった。

スピンオフ税制の適格要件が、2023年4月から緩和され、パーシャル・スピンオフにおいても、一定の要件を満たせば課税対象外となった。これにより、スピンオフ親会社は、スピンオフ会社株式の20%未満であれば保有できることになった。

参考  同社の大分コンビナートの構成は下図の通り。クラッカーはレゾナックが所有・運営。


   日本ポリエチレン:日本ポリケム ( 三菱ケミカル100%) 58%
            ..日本ポリオレフィン( レゾナック65% / Eneos 35%)  42%

   サンアロマー:レゾナック 65% / Eneos 35%

   NS スチレンモノマー:レゾナック 49% / 日鉄ケミカル&マテリアル 51%

    日本エラストマー:旭化成 75% / レゾナック 25%

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