中国初の水素燃料電池列車、長春市で時速160キロの走行試験を実施

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鉄道車両メーカー世界大手の中国中車(CRRC)は水素を動力源とする鉄道車両の試験走行に成功したと発表した。時速160キロメートルで走り、航続距離は1000キロメートルに達するという。都市間の旅客輸送への導入をめざす。


グループの中車長春軌道客車(中車長客)は3月21日、中国・長春市の実験線で同社が研究開発した中国初の水素燃料電池都市列車の走行試験を行った。

この列車は、水素をエネルギー源とし、水素駆動システムを内蔵している。燃料電池と蓄電池のハイブリッドシステムを併用し、同時に中車長客が独自に開発したエネルギー管理システムを搭載することで、エネルギーの利用効率を高め、エネルギー供給の柔軟性と安全性を向上させている。列車の1キロ当たりの実際の走行平均エネルギー消費量は5キロワット時で、車両設計の各指標の要求を満たし、世界トップ水準に達している。

外観や内観デザインは水素を意識して青色で統一した。

水素エネルギー都市鉄道の水素動力システムとそのコア部品の耐久性、高・低温下の性能、振動、電磁両立性、防災性などに関する試験を完了したほか、速度別のエネルギー消費量、航続距離、安全性、牽引力、制動、動力などに関する車両試験も実施しており、初めてマイナス25~35度の低温環境の中での性能を確認できた。

中国政府は2022年春に公表した水素産業の発展計画に「2035年までに交通、貯蔵、工業など水素エネルギー応用の生態系をつくる」と明記した。水素を「戦略的新興産業」と位置づけ、水素の生成から活用まで研究開発を支援する方針を示している。

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日本ではJR東日本が水素を燃料とする燃料電池と蓄電池を併用するハイブリッド車両(燃料電池)試験車両「FV-E991系」愛称 HYBARI(ひばり)の開発を進めている。最高時速は100キロメートルで、環境に配慮した列車として2030年度の実用化を目指して、2022年春から首都圏で試運転を始めている。

世界で初めて70MPaの高圧水素を利用できる燃料電池鉄道車両で、これにより、35MPaの燃料電池車両では困難だった長距離での鉄道走行が可能になる。

JR東日本が長年培った鉄道車両の設計と製造の技術、日立製作所がJR東日本と共同で開発した鉄道用ハイブリッド駆動システムの技術、トヨタ自動車が燃料電池の技術を担当した。

2号車の屋根上に水素貯蔵ユニットを配置し、2号車の床下にある燃料電池装置へ世界初となる70MPaの高圧水素を供給して空気中の酸素との化学反応で発電を行う。水素貯蔵ユニットは容量51Lのタンクを5個ずつ内蔵しており、計4ユニットが搭載され、圧力70MPaで約40kgの水素を貯蔵できる。

1号車の床下には主回路用蓄電池を配置し、燃料電池装置からの電源供給と回生ブレーキからの電源供給によりエネルギーを蓄え、電力変換装置を通した上で主電動機などへ送られる。冷房装置などの接客設備に用いられる電源は電力変換装置を介さず補助電源装置へ供給される。主電動機は出力95kW×4台、蓄電池は容量120kWhのリチウムイオン電池を2基搭載する。

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