経済産業省は3月19日、電気自動車(EV)補助金に関し、車両ごとの2024年度の「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」を公表した。充電拠点の整備状況や製造時の二酸化炭素(CO2)排出削減、サイバー攻撃対策などを進める企業を優遇した。
ガソリン車よりも価格が高いEVの購入者向けに購入金額の一部を補助するもので、2023年度の補正予算で1291億円の予算を計上し、財源としている。
2023年度までは充電1回あたりの航続距離など車両性能と、EV自体に災害時に充電設備としての機能があることなどを要件に37万〜85万円を支給していた。2024年度の補助からはこれらに加え、充電器の設置といったEVの普及に向けたメーカー側の取り組みを重視するようにした。その上で補助額を12万〜85万円と差を大きくした。
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経産省が要件とした項目は主に7つとなる。①航続距離など車両性能、②EV自体が災害時に充電設備として機能すること、③充電拠点の整備状況④製造時のCO2など排出削減⑤サイバー攻撃対策⑥修理拠点の整備状況や部材の安定確保⑦整備人材の育成である。
各項目の達成度に下記の配分で車種と企業に点数をつけ、最大200点を付与する。
評価項目 車種 企業 ①航続距離など車両性能 40点 ②EV自体が災害時に充電設備として機能すること 10点 10点 ③充電インフラ整備 40点 ④製造時のCO2など排出削減 20点 ⑤サイバー攻撃対策 20点 ⑥修理拠点の整備状況、部材の安定確保 20点 20点 ⑦整備人材の育成 20点 合計 90点
110点 200点
下表の通り、EVの場合、130点以上に補助最高額となる85万円を支給する。このほか100〜129点は65万円、54点以下は15万円といった6段階に分けた。
販売価格が840万円以上の車両は支給額を2割差し引く。130点以上であっても68万円となる。
日刊自動車新聞によると、車種ごとの補助金は下記の通り。
車種別の補助上限額は、日産自動車「リーフ」やトヨタ自動車「レクサス」、米テスラ「モデル3」が最高額の85万円となった。
マツダ「MX-30」や独メルセデス・ベンツ「EQA」は65万円、韓国の現代自動車「KONA」は45万円、中国の比亜迪(BYD)「DOLPHIN」は35万円とした。
表にはないが、英ジャガー「I-PACE」は、2023年度は52万円だったが、今回は12万円となり、最も低い。
トヨタの「bZ4X」と、スバルの「ソルテラ」は共同開発しており、ほぼ同じ車両だが、それぞれ85万円、65万円と差がついた。日本経済新聞によると、経産省の担当者は「EVの普及に向けたメーカー独自の取り組み状況を反映した」と話す。
日本国内に整備拠点を設置しにくい海外メーカーからは「新制度で不利になる」との懸念の声が上がっていた。経産省は自社の整備工場がなくても、他社の工場と提携しているかといった点を考慮し、海外メーカーでも対応できる制度設計にした。
経産省はメーカーの要望に応じて配点理由を個別に説明、得点が低かった項目などを示し、改善を促す。
EV補助金に関しては政府からの支援のほか、東京都など各自治体の制度も併用できる。
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