バイデン大統領は3月20日、西部アリゾナ州Chandler市のOcotillo Campusにある半導体メーカー、インテルの施設を視察した。
Intelは2021年9月24日、アリゾナ州Chandler市のOcotillo Campusで新工場建設の起工式を行なった。総額200億ドルを投じて2つの半導体製造工場を建設し、「インテル20A」を含む同社の最先端製品の製造を予定する。2024年の完全稼働を目指している。
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Intelは2022年1月21日、最大1000億ドルを投じ、オハイオ州に世界最大級の半導体製造工場を建設すると発表した。
先進半導体の製造に向け、まず200億ドルを投じてオハイオ州に新工場2カ所を建設する。最終的には8つの工場を擁する1000億ドル規模の 世界最大規模の「メガサイト」とする。
スマートフォンや自動車向けなどの最先端の半導体を生産するほか、他社からの受託事業も行なう。建設場所は州都Columbus郊外のNew Albanyで敷地面積は1000エーカー。3000人の正規雇用、建設関連で7000人の雇用を創出する見込み。
2022/1/31 インテル、米に世界最大級の半導体工場新設
視察後、演説したバイデン大統領は、CHIPS and Science Act に基づき、インテルに最大で85億ドルの補助金を出すと明らかにした。合わせて110億ドルの融資も行う。
補助金は、Arizona, Ohio, New Mexico, Oregon で最先端の半導体工場を建設する費用などにあてられる。
バイデン大統領は「アメリカ国内で投資を行えば国の未来を変えるとともに世界を再びリードすることができる」と述べ、半導体産業の立て直しをはかると強調した。補助金は、バイデン政権が2022年に成立させた国内の半導体の生産や開発を後押しする法律、CHIPS and Science Act の枠組みが使われ、この制度では最大の額となる。
また、今回の投資によっておよそ3万人の雇用創出につながるとしている。
秋の大統領選挙で再選を目指すバイデン大統領としては、最先端の半導体をめぐり国家主導でばく大な予算を使って技術開発を進める中国に対抗するとともに、製造業を強く後押しする姿勢を強調するねらいもある。
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バイデン大統領は2022年8月9日、国内半導体産業支援法「CHIPS法」案に署名し、同法が成立した。
法案の総額は約5年で約2,800億ドルとなり、その多くはエネルギー省や商務省、国立科学財団(NSF)、国立標準技術研究所(NIST)といった連邦政府機関の研究開発プログラムなどへの予算の充当となる。
産業界向けのCHIPSに関する5年間で527億ドルの予算の内訳は次のとおり。
- 商務省製造インセンティブ(390億ドル):半導体の設計、組み立て、試験、先端パッケージング、研究開発のための国内施設・装置の建設、拡張または現代化に対する資金援助。
うち、60億ドルは直接融資または融資保証に使用可能。
- 商務省研究開発(110億ドル):商務省管轄の半導体関連の研究開発プログラムへの予算充当。
- その他下記(27億ドル)
2022/7/29 米議会、「CHIPS法」を可決
商務省はこの390億ドルのインセンティブの実質第1号として、2月にGlobalFoundriesに15億ドルを支給した。
2023年12月にNew HampshireのBAE Systems の施設に35百万ドル、2024年1月にMicrochip Technologyに162百万ドル支給を発表したが、本格的な支給はこれが最初。
GlobalFoundriesは米国の半導体製造企業で、ファウンドリとしてはTSMC、Samsungに次いで世界第3位グループ。
2024/2/28 米国商務省、CHIPS法に基づく半導体メーカーへの最初の補助金支給
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3月14日の関係筋の話として、米政府は韓国のサムスン電子に対して、同社が発表したテキサスプロジェクトを越えて投資を拡大するよう支援するために60億ドル以上の補助金を支給する方針と報じた。
これは、台湾のTSMCが受け取るものと知られている50億ドルを上回る金額である。
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