国際協力銀行、丸紅参加のチリのセンチネラ銅鉱山拡張事業に対しプロジェクトファイナンス

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国際協力銀行(JBIC)は3月16日、チリ共和国のMinera Centinela との間で、センチネラ銅鉱山の拡張事業を対象として、融資金額950百万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンスによる貸付契約を締結したと発表した。

本融資は、カナダ輸出開発公社、韓国輸出入銀行、ドイツ復興金融公庫及び民間金融機関(三井住友銀行、Crédit Agricole Corporate and Investment Bank、Société Générale S.A.、Natixis S.A.)との協調融資により実施するもので、協調融資総額は2,500百万米ドルである。

本プロジェクトは、英国法人Antofagasta plc及び丸紅が出資するCentinelaが、チリのアントファガスタ州に位置するセンチネラ銅鉱山の新規鉱区を開発の上、選鉱プラント及び関連設備を新たに建設・操業するもの。拡張事業によって増産される銅精鉱のうち一部を日本企業が引き取る予定。

センチネラ銅鉱山は、使用電力の100%再生可能エネルギー化や操業用水への海水利用等、環境に配慮した持続可能な銅生産を行っており、2021年7月にはCopper Mark認証(国際銅協会が2019年に設立した銅産業の「責任ある生産」及びSDGsへの貢献を示す枠組み)を取得している。丸紅は、中期経営戦略「GC2024」において、グリーン戦略を企業価値向上に向けた基本方針の一つに掲げており、電化推進に不可欠な銅事業をグリーン事業と位置付けているところ、日本企業の脱炭素社会の実現に向けたエネルギー変革への対応を後押しする観点から、こうした丸紅のグリーン戦略に基づく取り組みを支援するもの。

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丸紅は2023年12月20日、英国のAntofagasta plcと共同出資するチリのMinera Centinela(「センチネラ銅鉱山」) の拡張プロジェクトについて投資意思決定を行ったと発表した。

銅の需要は、新興国の発展に伴う電化・インフラ整備の拡大に加え、電気自動車の普及や再生可能エネルギーの拡大などによって、更なる増加が見込まれてい る。

一方供給面では、既存鉱山の品位低下や資源枯渇による生産量低下に加え、環境許認可取得難化・所在地の僻地化等により新規鉱山も開発難度が高まることで供給の拡大が見込めず、長期的に銅は供給不足に陥り需給ギャップが拡大していく見通しである。

本拡張プロジェクトは、既存の選鉱プラントの南約7kmの場所に新規の選鉱プラントを建設することで、鉱石処理能力を日量9万5000トン追加して現状比2倍にする。

既存の選鉱プラント:Esperanza銅鉱床とEsperanza Sur銅鉱床から給鉱
新規の選鉱プラント:Esperanza Sur銅鉱床とEncuentro銅鉱床から給鉱


拡張プロジェクト後のセンチネラ銅鉱山全体の銅生産量は、約14万トン/年の増産により生産量で世界トップ15の銅鉱山となる見込み。

初期開発費用は44億米ドルを見込むが、センチネラ銅鉱山でプロジェクトファイナンスを組成予定 (上記の25億ドル)で両株主の資金負担は40%程度(19億ドル:43%)となる予定。2024年より建設を開始、2027年の生産開始を計画している。

<センチネラ銅鉱山概要>

<センチネラ銅鉱山概要>
所在地 チリ第Ⅱ州(Antofagasta 市から北東に約180km、標高2,300m)
可採鉱量 硫化鉱 1,738百万トン(2020年12月末現在)
酸化鉱 324百万トン(2020年12月末現在)
生産量 (銅地金換算)約25万トン/年+約14万トン/年
生産期間 2001年~2068年
持分権益比率

権益比率
アントファガスタ 70%
丸紅 30%

Antofagasta plc は1888年設立で、事業内容は銅精鉱及び銅地金の生産・販売事業、輸送事業、水事業

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丸紅は同じ2023年12月20日、JX金属が保有するチリのMinera Los Pelambres Limitada(「ロスペランブレス銅鉱山」)の権益3.27%の取得、およびパンパシフィック・カッパーの株式20.0%の取得につき、JX金属と合意したと発表した。

ロスペランブレス銅鉱山は、現地パートナーである Antofagasta plcと丸紅を含む日本コンソーシアムが共同運営する年間生産量約40 万トン(銅地金換算)の世界有数の大型銅鉱山であり、世界でトップクラスのコスト競争力を誇る。また、操業用水への海水利用や、使用電力の100%再生可能エネルギー化を実現するなど、環境に配慮した持続可能な銅生産を行っている。

丸紅は、現在9.21%の権益を保有しており、今回の追加取得後には12.48%を保有することにな る。

<ロスペランブレス銅鉱山概要>
会社名 Minera Los Pelambres Limitada
所在地 チリ Coquimbo州
埋蔵量 9億トン (2022 年 12 月末現在)
生産量 約40万トン/年(銅地金換算)
生産期間 1999年~2036年
持分権益比率 会社名 本取引実施前 本取引実施後
Antofagasta plc 60.00% 60.00%
JX金属 15.79% 12.52%
丸紅 9.21% 12.48%
三菱マテリアル 10.00% 10.00%
三菱商事 5.00% 5.00%
事業内容 銅精鉱の生産・販売事業

パンパシフィック・カッパーは、JX金属と三井金属鉱業による合弁事業として、原料調達から製錬・加工委託、製品販売までを担う銅を主体とする非鉄金属素材の供給事業者であり、銅地金販売量は年間約65万トンと国内最大規模で、アジア圏を中心に幅広い顧客網を持ち、同社の取り扱う高品質の銅地金はマーケットにて確固たるプレゼンスを確立している。

会社名 パンパシフィック・カッパー株式会社
設立年 2000年
株主 会社名 本取引実施前 本取引実施後
JX金属 67.8% 47.8%
三井金属 32.2% 32.2%
丸紅 0.0% 20.0%
事業内容 銅原料調達、製錬・加工委託、製品販売事業


丸紅は、銅の需要は、新興国の発展に伴う電化・インフラ整備の拡大に加え、グリーントランジションに伴う電気自動車(EV)の普及や再生可能エネルギーの拡大などによって、更なる増加が見込まれており、銅鉱山操業、銅原料調達、銅地金販売等における銅のサプライチェーンを強化し、今後も持続可能な銅の安定供給を担うとともに、銅事業の拡大に取り組んでいくとしている。

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