日本銀行は3月18日~19日の金融政策決定会合で、「マイナス金利政策」を解除し、金利を引き上げることを決めた。
政策委員会・金融政策決定会合において、賃金と物価の好循環を確認し、先行き、「展望レポート」の見通し期間終盤にかけて、2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断した。
これまでの「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組み(イールドカーブ・コントロール)およびマイナス金利政策は、その役割を果たしたと考えている。
日本銀行は、引き続き2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、短期金利の操作を主たる政策手段として、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営する。
現時点の経済・物価見通しを前提にすれば、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。
(1)金融市場調節方針(賛成7反対2)
次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0~0.1%程度で推移するよう促す。
この方針を実現するため、日本銀行当座預金(所要準備額相当部分を除く)に0.1%の付利金利を適用する。(「マイナス金利政策」を解除)
日銀による利上げは2007年2月以来およそ17年ぶり。
2016年9月に導入し、短期金利に加えて長期金利を低く抑え込んできた長短金利操作=イールドカーブ・コントロールと呼ばれる金融政策の枠組みを終了
(2)長期国債の買入れ(賛成8 反対1)
(日銀が国債を大量購入して長期金利を0%に抑える長期金利操作は撤廃するが、)
これまでと概ね同程度の金額(足もとの長期国債の月間買入れ額は6兆円程度)で長期国債の買入れを継続する。
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日本銀行(黒田・日銀)は2013年4月4日の政策委員会・金融政策決定会合で、「量的・質的金融緩和」の導入を決めた。
日本銀行は2016年1月29日、政策委員会・金融政策決定会合で、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するため、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入することを決定した。今後は、「量」・「質」・「金利」の3つの次元で緩和手段を駆使して、金融緩和を進めることとした。
白川・日銀 黒田・日銀
2013/4/4 2014/10/31 2016/1/29 金融市場
調節手段無担保コール翌日物金利 マネタリーベース マイナス金利の導入 マネタリー
ベース年間 60~70兆円増 年間約80兆円増 2012年末 138兆円 2013年末 200兆円
2014年末 270兆円長期国債
買い入れ
残高 年間50兆円増
40年債を含む全ゾーン残高 年間80兆円増 平均残存 3年弱 7年程度 7年~10年程度
2016/2/13 マイナス金利の波紋
日銀は、2016年9月「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き・量的・質的金融緩和」の導入を決定した。
短期金利、および10年物国債金利の操作目標の2つの金利水準を提示する。
- 短期金利は日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス金利を適用(従来通りマイナス0.1%)
- 長期金利は10年物国債金利が0%程度で推移するように長期国債の買い入れ
2016/9/27 バーナンキ氏、日銀の新政策は「ヘリコプターマネー政策に似ている」 後半に詳細
その後、長期金利については下記の通り、見直してきた。
2016/9 「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き・量的・質的金融緩和」の導入 10年物国債金利が0%程度で推移するように長期国債の買い入れ
0%~±0.1%程度2018/7 ±0.2%程度 2021/3 ±0.25%程度 2022/12 イールドカーブ・コントロールの運用の一部見直し ±0.50%程度 2023/4 黒田総裁→植田総裁 2023/7 運用の柔軟化 「±0.5%程度」を目途とする=1%を事実上の上限 2023/10 長短金利操作の再修正 1%を「めど」とし、一定程度超えることを容認
2023/11/1 日銀、金利操作の再修正を決定、長期金利1%超え容認
上記の通り、日本ではゼロ金利が続いてきたが、欧米各国は早期に利上げに転じている。
2022/9/26 主要中央銀行でマイナス金利は日銀だけに
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