小林製薬、「紅麹」の成分含む健康食品を自主回収

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小林製薬は3月22日、「紅麹(べにこうじ)」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症したことが報告されたと明らかにし、「健康食品が原因となった可能性がある」として、この成分を含む3つの健康食品を自主回収するとともに、使用を中止するよう呼びかけた。

紅麹コレステヘルプ

  45粒15日分
  90粒30日分
  60粒20日分

ナイシヘルプ+コレステロール ナットウキナーゼ
さらさら粒GOLD


いずれもコレステロールや血圧を下げる効果を記した健康食品


「紅麹」は、コメなどの穀類に麹菌の一種である紅麹菌を繁殖させてつくられたもので、古くから食品の着色料などとして使われてきた。

小林製薬は、紅麹のサプリを摂取した40~70代の男女13人から腎疾患などの報告が出ているとして、約30万袋を自主回収する。ただ、同社の生産量全体のうち自社で使用していたのは2割程度で、残りの8割は飲料や食品メーカーに供給していたという。

販売先は日本国内と台湾の飲料、食品メーカーや原料商社など52社だという。小林製薬は、各社に健康被害が出る恐れがあるとして、使用を中止するよう連絡をした。

宝酒造は3月24日、スパークリング日本酒「松竹梅白壁蔵『澪』PREMIUM〈ROSE〉」を自主回収すると発表した。この日本酒には、小林製薬が製造した紅麹原料を着色料として使用している。

松竹梅白壁蔵「澪」PREMIUM〈ROSE〉750ml
松竹梅白壁蔵「澪」PREMIUM〈ROSE〉300ml

福岡県に本社がある「ZEROPLUS」が製造・販売する機能性表示食品「悪玉コレステロールを下げるのに役立つ濃厚チーズせんべい」でも、小林製薬が生産の紅麹原料を使用しているとして、商品の自主回収を行うと22日に発表した。

このほか、紀文食品は「国産いか使用いか塩辛」「いか塩辛3P」、ジェイアール東海高島屋(名古屋市)は和菓子売り場「豆福」で販売した豆菓子などの自主回収をそれぞれホームページ上で公表した。

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小林製薬によると、ことし1月、「紅麹コレステヘルプ」を摂取した人が腎臓の病気などを発症したことが報告された。
その後、体調不良が報告された患者の数は13人に増えた。

付記

小林製薬は3月26日、健康被害の恐れがあるとして自主回収を決めた紅麹原料を含む機能性表示食品を摂取した消費者1人が死亡した可能性があると発表した。腎疾患で亡くなった人が生前に回収対象製品「紅麹コレステヘルプ」を使用していたと遺族から連絡があり判明した。

厚生労働省は3月26日夜、摂取した2人が死亡、106人が入院していると発表した。

腎疾患を発症したのは40代から70代の男女で、むくみやけん怠感、それに尿の色が濃くなるといった症状を訴えている。一時6人が入院したほか、現在も7人が通院している。このうち2人は一時、人工透析が必要な状態になった。

小林製薬の信頼性保証本部長は、腎疾患と製品との関連は調査中だとした上で、「腎疾患を発症した人が摂取していた製品にはいずれも同じロットの原料が使われており、分析したところ、私たちが想定していない成分が含まれている可能性があることがわかった。この成分がなにかまだ特定できていないが、紅麹を培養する過程で作られるという報告があるシトリニンという毒素は検出されなかった。大学の研究室とともに調査を進めていて、人体への影響が分かりしだい伝えたい」と説明した。

今回の小林製薬製品に用いる紅麹菌株は、そもそもシトリニンを生成しないものを選定しており、問題発覚後の検査でもシトリニンは検出されていない。

食品安全委員会によると、紅麹由来の成分にはLDLコレステロール値を下げる効果が期待される一方、一部の紅麹は腎臓の働きに影響を与える「シトリニン」というカビ毒を発生させる可能性がある。

実際にフランスでは、紅麹由来の成分が配合されたサプリメントの摂取と関連が疑われる筋肉や肝臓障害の事例が複数件報告されている。

欧州では以下の対応をしている。

欧州連合(EU)は2014年3月7日、紅麹由来のサプリメント中のかび毒シトリニンの基準値を設定
スイス連邦食品安全獣医局は2014年3月14日、紅麹を成分に含む食品の売買は違法と注意喚起
フランス食品環境労働衛生安全庁は2014年3月13日、紅麹を有効成分とするサプリメントを服用する前に必ず医師に相談するよう注意喚起

付記

小林製薬中央研究所の検証では、

日本で主に利用されている紅麹菌M. pilosusは、物質レベルでシトリニンを生成せず、ゲノムにもシトリニン産生遺伝子が存在しないことが確認された。

一方、中国で主に利用されている紅麹菌M. purpureusでは、シトリニンの産生およびシトリニン産生遺伝子の存在が確認された。

台湾で主に利用されているM. ruber に関しては、今回の研究で用いた菌株ではシトリニンを作る遺伝子は存在していないが、M. purpureusM. ruberは過去にシトリニンの遺伝子が機能している菌株の報告がある。

食品安全委員会の担当者は「欧州の事例でも健康被害の原因が明らかになっておらず、今回も原因究明が待たれる」と話している。

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